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2009年3月22日 ● 裁判員制度は何を目的にして作られたのか?

カテゴリ : 無題

 戦後、日本にあっては、国民の義務は納税と教育だけであり、これは国家運営予算と、国民の知的水準維持向上のために義務と定めた約束事であって、国民全体が政府との契約関係において納得して受け入れているといえるだろう。このことによって、日本国家が形式的にも実体的にも成立する基礎になっている。

 戦前ではどうか? といえば、これに徴兵制が加えられていた。徴兵制は明治政府成立とともに作られた制度で、国民男子平等の義務とされた。それまでは軍事上の義務は、藩に雇われた士族だけに負わされていたものを、士農工商の身分差別を廃止し、国民平等の義務としたものである。
 まさに徴兵制施行が、完全ではないにせよ生まれながらの身分差別や特権を廃止する引き金になった。このことによって、それまで、住居地を定めないことで、いかなる義務も負っていなかった流浪の民、サンカ・木地屋・芸人たちにも、居住地の特定と納税・徴兵が義務として強要されることになり、日本の歴史的民俗に大きな影響を与えることになった。つまり、日本から「流浪の民」が消えたのだ。

 しかし、徴兵の義務は、国民に巨大な負担を強いるものとなった。サトウ・ハチローは軍国主義者だが、その詩は庶民の悲しい思いを捉えている。

 【モズが枯れ木で鳴いている おいらは藁を叩いてる 綿引車はおばあさん コットン水車も回ってる みんな去年と同じだ けれども足んねえもんがある 兄さの薪割る音がねえ  ばっさり薪割る音がねえ 兄さは満州へ行っただよ 鉄砲が涙で光っただ モズよ寒いと鳴くがよい 兄さはもっと寒いだろ】
 
 乃木希典による203高地の突撃集団自殺作戦があった日露戦争における徴兵者の割合は、地域青年男子の2割を越え、戦死率も2割を超えた。
 太平洋戦争における徴兵国民は550万人、義務を強要された17歳~45歳までの国民男子の41%に達し、戦死者数は220万人を超えた。
 その他、一般市民の戦死も90万人と言われている。当時、人口8000万人程度だから、戦争による死亡率は4%近いものだ。徴兵者の死亡率は、実に40%近く、国民の二人に一人は生きて還って来られなかった。
 ベトナム戦争におけるアメリカ徴兵者の被害も凄まじく、50万人が強制的に徴用されて、うち58000名の死者が出ている。こちらも死亡率10%を超えている。

 ひとたび徴兵制が施行されたなら、このように国民に莫大な犠牲者が出ることが分かるだろう。だから、今、世界で徴兵制を敷いている国は、ドイツ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スイス、ロシア、韓国、北朝鮮、イスラエル、トルコ、台湾、エジプト、マレーシア、シンガポール、ポーランド、カンボジア、ベトナム、タイ だが、うちドイツ、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、スイス、台湾、ロシア では良心的兵役拒否が承認されている。
 しかし、韓国・北朝鮮・トルコだけは、戦前の日本と同じように、一方的に命を差し出すことを強要されている。

 民衆における徴兵制に対する嫌悪感は激しいもので、とりわけ日本では、第二次世界大戦の徴兵死亡率が史上最高であったことから、猛烈な徴兵アレルギーが成立することになった。これまで、国家の優越性を信仰し、「強い国家」の大好きな中曽根康弘~安倍晋三らであっても、ひとたび「徴兵」を口に出したら最後、表舞台から永久追放される運命を免れることはできなかったのだ。
 このため、「世界に冠たる強い日本」を復活させるために、核武装と徴兵制が欠かせないと信ずる自民党・保守勢力の陰謀グループ(正力松太郎~岸信介らが作った反共国家主義グループ)は、すでに1950年代から、注意深く徴兵制を復活させるために、教育制度に介入し、「お国のために命を捨てることが美しく立派」という価値観、愛国心教育を復興させるのに必死になってきた。
 それでも、先の戦争の記憶の残る人たちがいる限り、日本に徴兵制を復活させることは困難の極みであった。生きている限り、彼らの心の傷が癒えることはなかったのだ。

 そこで、そうした戦争の悲惨、実際に戦場で凄まじい苦悩を体験させられ、焼夷弾や爆弾に逃げまどった人たちが、戦後60年を過ぎて、平均死亡年齢に達して、いなくなっている今になって、実感を持って戦争を受け止めることができない若者たちに、戦争の負の側面ではなく、人殺しを楽しむようなゲーム感覚で、日本防衛や中国・韓国敵視観を洗脳しながら、徴兵制をなし崩しに復活させる戦略がとられているのである。

 まずは、国民に、「国家のために個人の時間と労力を強制的に徴用させることが正当だ」という観念を植え付けるのに、大きな壁が存在している。個人の時間と労力が公のために徴用されるという義務意識は、戦後日本に存在しなかった。
 このために、少しずつ、国民に、義務を押しつけて慣れさせ、拡大する必要があるわけだ。このため選ばれた方策が「裁判員制度」であった。
 そして、この裁判員制度にあっては、いきなり重罪者だけを裁くことになり、死刑宣告を行わせることになった。他人に死を宣告するという仕事を国民に強要するわけで、これによって、国民は「死を与える」ことへの抵抗感を失ってゆくという段取りなのである。

 まさしく、とても、よくできた徴兵制復活へのステップであって、今後、こうした強制義務が拡大し、その内容も苛酷化させてゆけば、国民は徴兵されて他国民を殺害しにゆくことへの抵抗感も薄まってゆくだろう。そもそも、欧米の陪審員制度に倣って、日本に民主的法治を導入しようとするタテマエが本当ならば、何の訓練も予備知識もなく、いきなり国民を無差別に徴用して、死刑判決に荷担させるなどという馬鹿げた制度を作るはずはない。国民が陪審員の意義を十分に理解し、小さな経験を積み重ねて、社会的な議論が熟成するのを待って、徐々に、高いレベルの判断が必要とされる重大事件に範囲を拡大させればすむ話であって、この制度は、明らかに、国民参加というタテマエは真っ赤なウソであり、その本当の狙いは、徴兵制に慣れさせること。国民に苛酷な義務を強いて、他人の死を宣告する体験を積ませて、戦争犯罪の罪悪感を軽減させる準備をさせようとする意図意外にありえないのである。
 我々は、裁判員制度の本質的な問題を隠蔽し、「国民の民主的司法参加」などという欺瞞的宣伝に荷担している知識人をリストアップし、糾弾していかねばならない!

 裁判員制度の問題

① 理由もなく(年齢や健康・業務の特別な条件がないかぎり断れない)拒否すると10万円の過料、裁判で知り得た情報を他人に話すと50万円以下の罰金、または六ヶ月以下の懲役という罰則があり、これは死ぬまで守秘義務が続く。裁判所が勝手に選んだ名簿で徴用されて、数日間の拘束を受けた上、日当1万円しか支払われない。上場会社役員や孫正義にとっては事実上懲役制裁に等しいことになる。国民に何の落度もないのに、勝手に選ばれて拒否するとブタ箱行きと多額の罰金が待っている。まさしく徴兵制である。

② 参加者の大部分は法律の素人であり、裁判の基本的な知識すらない。それを、いきなり死刑相当の重罪ばかりの審理に加われといわれる。99%の人が、参加しても、制度の意味も分からず、判決への関与、判断基準の基礎的な知識もないわけで、ただ呆然として義務時間の終わるのを待つばかりとなるのは明白だ。
 そして自分の意見を主張することは、事実上許されない。死刑廃止論を持つ人は、そもそも選別段階で門前払いされることになる。結果は、権力の都合のよい恣意的な判決しか出ないのに、「国民の意思が関与した」とウソ八百を並べて裁判が、あたかも民主主義に基づいて正当に行われたかのような錯覚を与え、正当化するインチキ工作にすぎない。

③ この強制制度は明確な憲法違反である。(ウィキ引用)
第一に、裁判員候補者は、正式な裁判員を選任する手続きの中で、宗教や前科などプライバシーに踏み込んだ質問を受ける 。第二に、裁判員の氏名が被告人や他の裁判員に知られることにより、危害が加えられるおそれがある。第三に、裁判員法第101条は、裁判員の氏名の漏出を禁じている。なお、顔貌の視認により裁判員を特定されるおそれはある。 第四に、裁判員は法廷で提出される証拠を全て確認しなければならない。その中に遺体の写真などグロテスクな資料があった場合、過度の嫌悪感を催し、精神的な後遺症を患うおそれがある。第五に、判決を言い渡した後に誤判が判明した場合、裁判員は罪悪感に苛まれる。第六に、合理的理由により死刑判決に賛成した場合であっても、将来にわたり過度の罪悪感に見舞われ一般生活に支障をきたす可能性もある。

裁判員の守秘義務は裁判官より重い。裁判官の守秘義務は範囲が狭く、終身のものではない裁判員と同じ裁判体を構成する裁判官は弾劾裁判・分限裁判で免職になるなどするケースはあるが、刑事罰の罰則規定がない。しかも退職後は守秘義務を担保する規定が存在しない(憲法14条・法の下の平等の明確な違反)。裁判員法第9条第2項における、裁判員が漏洩してはならない「職務上知り得た秘密」という語句は、範囲が不明確である。刑事法における不明確な規定は罪刑法定主義に反する。 法務省の説明によれば、関係者のプライバシーに関する情報、評議の推移と内容に関する情報を含み、公判で開示された証拠の情報、裁判員制度それ自体に関する情報を含まない。裁判員自身が評議においてどう判断したかを公にすることを処罰することは、「思想及び良心の自由を規定した日本国憲法第19条及び表現の自由を規定した日本国憲法第21条を侵害する」ことになる。
守秘義務と参加義務については、検察審査会も同様の問題を抱えている。

● 筆者は、裁判員招集に当たった場合、これが憲法違反であることを理由に、招集を拒否します。過料10万円の支払いも拒否し、拘留懲役による制裁(おおむね20日程度)を受けて、国家に対して違憲訴訟の原告となる決意を表明します。なるべく早い時期にブタ箱に入りたいと思っています。40年近く前に、べ平連デモで逮捕されて以来で、楽しみにしています。普段食べているものより、良いものを食べさせてくれるはずです。 (^^;)

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