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2009年3月25日 ● 日本は、どれだけのショパンを殺してきたのか?

カテゴリ : 無題

 最近、車にはじめてCDオーディオがついたので、2000円だしてショパンのピアノ曲集を買って、走りながら聞いている。
 ホロビッツやブーニンで英雄ポロネーズや幻想即興曲を聴いていると、運転中でも血湧き肉躍り、興奮が冷めやらない。思わず大声で「ブラボー!」と怒鳴りまくるのだ。夢中になっているので事故が心配になっている。

 はじめてショパンを聴いたのは、小学生の頃、父親がオーディオ趣味で集めたレコードだ。当時、ルービンシュタインの幻想即興曲を父に内緒で聴いていて、絢爛たる音楽の宇宙に引き込まれ、我を忘れて興奮した。聴いてから周囲の光景がステンドグラスのように光り輝いて、恍惚状態になってしまい、なかなか現実に戻れなかった記憶がある。
 それから「オレは演奏家になる!」 と勝手に決めた。

 家は貧乏だったし、混み合った下町の住宅地ではピアノなど無理だ。そこで中学生の頃からギターをはじめ、昨年の今頃、木工中に指を怪我するまで、ずっと続けてきた。そこそこの腕前にはなったが、一人前のギタリストにはなれなかった。それでも講談師の田辺鶴英と一緒に、各地を回ってBGM演奏をしたこともある。まあ、独奏演奏会を開く程度の腕になるためには幼児の頃から専門的教育機関で長い修練を重ねないと無理だ。
 筆者も、若い頃はプロのギタリストになりたかったが、移り気で独善的な性格から、人を箱に押し込めてトコロテンを作るような押しつけの教育体制が嫌で、また、自分が本当に感動したものしか価値として認めたくなかった。だから学校でベルトコンベアーに乗るのは不愉快で、「自分で学ぶ!」と決意した。
 だが、そのうちマルクス主義や幸徳秋水などの政治思想に目覚め、学校は芸術科に進んだものの、デモに揉まれているうちに、いつのまにか音楽家の道は遠のき、気づいたら市民運動活動家になっていた。さらに気づいたら、トラックの運転手になり、そのうちタクシーの運転手になった。

 嗤うんでネー! みんな似たようなものだ。凄い演奏家になって脚光を浴びる者など、数万分の一しかいないのだ。「その他大勢」で十分なのさ。
 その数万分の一の世界もかいま見ることがあったが、みんなが思っているほど素晴らしいものではない。正反対だ。彼らは5分間の脚光を浴びるために、数万倍の時間を犠牲に捧げ、地獄の修練を積んでいるのだ。神のように素晴らしい演奏家の日常は、まさに悪魔のような激しい修練の積み重ねばかりなのだ。普通の人間は、その鬼気迫る日常に衝撃を受けて、脚光など望む気も失せて、すごすごと退散するしかない。 「嗚呼、フツーで良かった」 ・・・・・と。

 筆者も、そこそこギターの練習を重ねた。しかし筆者のような気の短いアホは、少し上達すると、すぐ自慢したくなるのが、できざる人間、凡人たる所以である。そこで腕もないのに機会を捕らえて人前で演奏すると、その場では、そこそこの慈善寄付的拍手をもらえるものの、後からは寄ってたかって批判ブーイングの嵐となる。「オマエなど出てくる舞台じゃねー!」と石持て追われるごとくなのだ。

 日本人というのは、どうして、こんなに批判が好きなんだい?

 13年も続いているこのHPでも同じことだが、真正面からの批判は有り難く役に立つものだが、99%は陰口だ。もっとも、筆者も批判をすぐ削除するクセがあるので、やむを得ないかも知れない。(^^;)
 日本人は、人を落ち込ませる批判が大好きだ。出てくる杭を打つのが快感なのだろうか? これから技術を磨いて延びてゆきたい才能を妬み、押しつぶそうとする輩は五万といるが、温かく励まし、長所を誉めて自信をつけさせるなかで、短所も少しずつ気づかせてゆくという(船井式)長所進展法を用いる人は非常に少ない。
 逆に、短所だけに目を奪われ、「こいつはアカン」と決めつけ、本人のやる気をなくさせて、結局、その道を諦めさせてしまう短所是正法しか知らない人が大部分なのである。このことが、日本社会をどれほど萎縮させ、どれほど大きな損失を招いてきたか、みんな理解もしていないだろう。

 日本における、あらゆる才能が、妬みや、伸びてゆこうとする意志を押しつぶすことが大好きな短所是正法オンリーの人たちによって潰されていった。
 日本ではショパンは育たないだろう。ショパンなみの才能や感受性を持った子供たちは、きっとたくさんいるに違いない。しかしショパンににはなれない。周囲の妬みや批判主義が、それを許さない。
 日本社会は、これまで、どれだけのショパンを殺し続けてきたのだろう?

 筆者が30年前から取り組んできた死刑廃止運動を見直してみると、これまで本当に暗澹とさせられたことは、日本人の大部分が、過ちを犯した人を絶対に許さず、制裁し、報復することしかしないために、一度でも失敗したならば、社会に順応したり、生きる喜びを見いだせずに押し潰されていった人たちがたくさんいたことだ。
 日本人の多く、9割いるとされる死刑制度支持者の全員と断言してもよいが、彼らは、すべて人の失敗が絶対に許せない人たちである。過ちを犯したなら制裁しなければ気が済まないのだ。その苛酷さはエスカレートするばかりだ。
 ああ、なんとキャパシティの小さな群れなのだ! どうして、そうなるかといえば、それは子供の頃から、失敗を激しく叱咤糾弾され続け、過ちに過敏になっている人が多いことが大きな理由だろう。自分が失敗し、恥をかくことに凄まじい恐怖心を抱いているのだ、そんな自分が許せない。だから人の失敗も許せない。

 筆者が25年ほど前に、三重県で交通死亡事故の当事者になったことを何度か書いたから記憶されている方も多いだろう。
 すると、たちまちのうちに制裁小僧がやってきて、あらゆる掲示板に、筆者が悪辣な人殺しだと書き込まれていた事実を知る方も多いだろう。鬼の首でもとったように、嬉しそうに筆者の失敗をネットで書き散らかす。検索すれば、「東海アマスゲー」あたりのスレッドに、似たような記述が山ほど出てくる。「東海アマ管理人は殺人犯」と・・・・・、よくも飽きもせずに続くものだ・・・・(-_-)

 この制裁小僧たちの正体は、いったい何なんだ?
 日本に生まれた、たくさんのショパンたちを潰しまくり、人のアラを探して三千里、北に我子を殺した鈴香いれば、行って極悪人は死ね、死刑だ! といい、東に隣のOLを殺した星島いれば、行って猟奇殺人は死刑だ! といい、西に幼女を殺した新聞配達員いれば、行って変態性欲者は死刑だ! といい、南に闇サイトに煽られて女性を殺した三名がいれば、行って何がなんでも全員死刑だ! 命で償え!といい、一人でも殺したら死刑! 女性を見ただけで痴漢犯罪者、ラブホは極悪非道の人倫犯罪といい・・・・。

 ヤツラは、人間はすべて犯罪者だと確信しているにちがいなく、人が、もし過ちを犯したなら、もはや更正の可能性は皆無であって、殺すしかないと確信しているようだ。その熾烈な矛先が、必ず過ちを犯さずにはいられない自分自身を直撃する運命に気づくことはありえないのだ。
 制裁愛好家、重箱隅愛好家、死刑愛好家、これらは、日本が変態性欲先進国となっていることに、無縁ではないだろう。彼らの多くは、要するにSM趣味なのだと思う。とりわけマゾヒズムだ。筆者も、昔、変態エロ小説家を目指して研究したことがあるから、ある程度は理解しているつもりだ。

 叩かれることなど、辛い体験を繰り返すと、人は、それが快感に変わるのである。かつて旧日本軍の新兵養成がそうだったといわれる。
 徴兵軍隊では、まず絶対服従を要求され、殴られ、服従することに快感を覚えるように心をねじ曲げられるのである。人は毎日、辛い思いを強制させられていると、辛さをまともに感じていては死んでしまうので、自己防衛機能(ホメオステーシス)が働いて、辛さが快感に変わるようになるのだという。
 そう、そこで軍隊では兵たちはマゾヒズムを獲得するのである。

 翻って、戦後教育、とりわけ1980年代以降の受験教育体制というものは、徴兵制、軍隊に等しいものだったといえないか?
 友と遊び、友情を楽しみたい年頃に、友を蹴落として、自分だけ特権階級に成り上がれと、家でも学校でも強要され続けるのだ。自分を徹底的に殺されて、受験と勝ち組になる苛酷な教育だけを要求され続けるなら、子供たちは辛い毎日をマゾヒズムの快感にすり替えるしかないではないか?
 そして、辛い毎日を、ますます辛くするように暴走するようになり、他人に対しても、自分が受けてきたような苛酷さを要求するようになる。自分のマゾヒズムを他人にも適用するのだ。そう、マゾヒズム愛が発生するわけだ。

 こうして日本人の若者たちは、人を許さず、徹底的に苛酷に扱うようになった。少しでもスキを見せる者は徹底的に虐める社会がやってきた。過ちを犯した者に、もっとも苛酷な運命を与えるのが正義と考える時代がやってきたのだ。これが、世界が死刑を廃止し、国連決議まで出ている時代に、日本人の死刑支持者9割の秘密なのだ。

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