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2009年4月12日 ● NHK教育TV 「美しい棚田が消えてゆく」を見て

カテゴリ : 無題

 今日は、久しぶりに素晴らしい討論番組を見た。日本農業の本質的課題に迫る問題提起だ。
 内橋克人・金子勝・榊田みどり・JA埼玉ひびきの代表理事組合長、鯨井武明と、考えられる最高のメンバーで、投機金儲け社会を賛美するばかりの新自由主義者やアホ評論家もおらず、本当に内実のある、たくさんの有益なヒントに溢れていた。

 農村の疲弊は何によってもたらされたか?
 それは、自民党池田内閣における高度経済成長路線以来、実に50年間、ひたすら資本主義思想による輸出産業優先、農業社会撲滅の政策を自民党と官僚が推進してきた結果であると内橋克人が明確に指摘した。
 筆者は、この人の見識こそ、日本の真の学問を代表するものだと評価してきた。まさしく、愚かな金儲けの欲望が、人を癒す明るく楽しい農村社会を破壊してきた歴史であると、明確に指摘されたのである。

 自民党保守勢力は、日本の古き良き人情社会が大嫌いだった。
 「世界に冠たる強い日本、凄い日本」の自己満足、ナルシズムこそ彼らの疎外された人間性を癒す最高のビジョンであった。強大な軍事力を構築し、民衆をギリギリまで追い立てて世界が畏敬する強国日本を作りたがった。
 このため、大衆が、のほほんとした人情に溢れた農村社会を楽しむことなど許さず、徴兵して鍛え上げ、天皇のために命を捧げるよう洗脳し、産業のためにこき使い、競争に追い立てて優秀な製品を作らせて世界を席巻させなければならなかった。追い立てられて突っ走るお駄賃として、アメリカ流文化生活、豪華な家、車、美人妻を与えたのだ。

 「強国日本」こそ彼らの共同幻想であり妄想であり、社会のすべては、この価値観を共有するように洗脳することが教育の本質であった。このため弱者の切り捨てが行われた。
 1960年代までの、かつての農業社会では、この世に生を受けた、あらゆる存在を愛し、慈しみ、大切に育て、決して無理させず、あるがまま、なすがままに暖かい心で生きる人生こそ最高の価値であった。
 一つの集落は、みんな家族のような共同体であり、子供たちはみんなの子供であり、老人たちも、みんなの老人であった。私利私欲に走る人は軽蔑され、人は他人に奉仕する利他主義に生きてきた。

 日本人は基本的に大家族であった。西日本では夜這い習慣が普通であって、性的に実に大らかな習俗であり、生まれてくる子供の父親が誰であっても気にしなかった。夜這いに来た者のなかから、母が気に入った者を勝手に父親に指名する権利があった。
 だから、子の父が誰であっても関係ない。それは集落全体の子であり、みんなで育てたのだ。そこには孤独などひとかけらも存在しなかった。

 こんな大家族は、産業にとって邪魔であり、企業の求めに応じて自由に転勤し、苛酷な拘束に堪える小家族が求められるようになった。大企業に雇用された労働者は、その生活のすべてを企業利益に捧げるよう強要され、家族や里のための時間を奪われていった。
 企業によって水と空気は汚染され、農林省により、朝鮮戦争で余った火薬資材が農薬肥料に化けて農業に使用を強制されるようになったために作物は不味くなり、栄養価も落ちた。
 輸出産業の金儲けのために、外国の農産物が異様な安さで輸入されるようになり、これが農家の生活を直撃した。あらゆる農産が値段で勝負できず売れなくなった。

 このため、自民党・農林省は農民票が自民党離れを起こして政権が社会党に移ることを阻止するため、農村にあらゆる補助金を出してバラマキと買収を行ったのである。
 地方の農村は、すべて補助金漬けになり、それと引き換えに農林省の細かい指示を受け入れる必要から、農薬や化学資材にのめりこんでいった。
 このため、伝統的な日本農業のエコロジー、リサイクルの利点が失われ、化学肥料・農薬・人工資材一辺倒の高生産性農業に変化し、それについてこれない小規模農家を淘汰し、農村社会を根底から支えた昔ながらの自給自足農村文化が廃れていった。

 若者たちは、テレビで宣伝される文化生活や車に憧れて、より高収益、高賃金を求めて、大企業に雇用される道を選び、次々と農村を離れ、年寄りだけが残されていった。
 農村の生きる道は、どんどん狭められ、都市で消費する野菜や付加価値の高い果実などに特化するようになり、効率化一辺倒の官僚指導により、大昔から伝えられてきた種子でさえ、ユダヤ資本の支配するF1ハイブリッド種に占領されるようになり、労働力・種子・肥料・農薬・育生資材とすべて外国資本の支配下に組み込まれる結果となった。

 だが、今日のNHK番組での主題、「美しい棚田」の持つ意味は、実は日本人が、日本の土地で子供の未来を用意するために、もっとも大切な思想を含んでいたのだ。
 それは、山村の棚田こそ、都市の水源を守り、浄化し、健康に寄与するものであって、棚田農業に依存した明るい農村社会が、人情社会として人の心を癒し、日本という国家を支える基礎にあったという真実を示すものであった。
 
 株式日記や宮崎正弘らが主張するように、子供たちを追いつめて競争させ、他国を圧倒する日本の技術力を磨いて「世界に冠たる強い日本」を作ることなど絶対にできない。それは人々の心を荒ませ、日本を愛する心を見失わせ、人を利己主義に追いやって殺伐とした今のような社会を作ることしかできないのである。
 本当に「素晴らしい日本」を作りたければ、まずは地方の棚田を大切にし、農村地域共同体社会を強固に作り出し、癒しの故郷を作ることなのだ。

 追いつめられるのでなく、素直な心で、人間を愛し、故郷を愛する心を育てられる棚田の風景と、そこから採れる作物を食べてこそ真に日本を愛する心が作られるのである。

 今日の討論番組で、金子勝が明確に指摘した。
 世界経済が大破滅した現在、すでに貿易輸出だけに頼った工業立国日本の幻想は完全に崩壊したのであり、我々は地方の破壊された農業と農村社会を再構築しない限り、生き延びる基本的な条件を失う。
 もはや世界は輸出商品を購買する能力を失った。こうなれば、基本は自給自足なのであり、日本は内需に依存し、食料やその他物資を完全に自給しない限り、他国から購入する余力さえ失うことになる。
 日本には2000兆円、勤労者一人あたり6000万円という世界最高の借金があり、もはや国債を発行しても誰も買ってくれない。円が下がり、ドルも暴落し、やがて金利に押しつぶされて、ハイパーインフレの嵐がやってくる。
 こうなれば、カネでモノが買える社会は終わりを告げ、モノをすべて自給しなければならなくなる。

 かつて、日本の農村社会は、自給率が100%であった。あらゆる生活必需品を自作自給することができた。今では、当時のような技術を持っている人はほとんどいなくなったが、これから、我々は再び自給率100%の社会を強要されるのである。
 だから、再び、かつてのような大家族、共同体の農村社会を復活させなくてはならない。
 筆者は、このことを当HP13年間のなかで繰り返し指摘してきたつもりだ。
 「もうすぐ国家が崩壊する、あらゆる組織が崩壊する」
 だから、我々の生き延びる道は、過疎の田舎に行き、信頼のおける仲間と団結して、農業共同体を結成して、みんなで助け合って生活するしかないのだと。
 
 当初の見込みよりも、社会の崩壊が遅れている事情は、結局、年金や貯金資産などを無茶苦茶に使って株を買い上げ、それで金融投機業者を救済しているからだ。
 しかし、それは断じて問題解決ではなく、ますます結果を深刻化させる破滅の道でしかない。やがて凄まじい社会崩壊がやってくる。
 夏場になれば、ほとんどの企業が経営不能に陥り、輸出入も途絶えるだろう。
 今、筆者は、20キロのタネジャガイモを植え付け、生活恐慌に備えているが、本当に食料の入手できない時が目前に迫っている。みんなで力を合わせて、助け合いに依存して生きるしかないのだ。

 これまで他人を出し抜いて、自分だけの金儲け、特権階級を目指して、豪邸に住み、ベンツやレクサスを乗り回し、金融詐欺でボロ儲けしたカネで超高級レストランに行っていた人たちは、残念ながら団結など絶望的であり、滅びる運命しか残されていない。
 これから生き抜くことのできる人たちは、友を大切にし、支え合う経験を積んだ人たちだけだ。すなわち、社会の底辺で辛苦を舐めてきた人たちだけだ。天は、このときのために、路頭に迷わせるような試練を与えたのだ。
 生き残るのは苦しんだあなたがただけだ。利他主義に人生の喜びを見いだせる人たちだけだ。利己主義者には、これから真の地獄が訪れる。一人も助からないだろう。

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