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2009年6月8日 ●先を見通すこと (食料保存技術が必要になる時代)

カテゴリ : 無題



 先に、田舎暮らしでは、「腹が減っても、すぐに食える条件がない」ことを書いた。
 近所に食堂もない、コンビニもない筆者宅では、昼飯にありつくためには、朝起きてから早い内に玄米を精米し、それを研いで、水に浸けて、炊飯し、畑に行って野菜を収穫し、おかずを作らなければいけない。(白米など一週間程度で酸化するので、玄米を大量に安く購入する)
 それどころか、おかずを切らさないようにするために、春になったら主食や野菜の種を蒔いて、長い手間暇をかけて育てねばならない。
 さらに、この数年、野生動物の農作物襲撃がひどくなり、かなり徹底した防御をしないと収穫皆無になり、また保管もネズミやら害虫やらで難しくなった。

 筆者のところで起きている問題は、今後、都会で食糧供給が止まったり、カネがなくて彷徨う人が激増したりするとき、多くの人々が地方への疎開を迫られ、同じ問題に直面することになり、今から十分に検討する必要がある課題である。

 これは人類が、古代から、つい50年前あたりまで、みんなが毎日直面してきた生活の知恵なのだ。
 筆者の子供時代、半世紀前には、冷蔵庫も洗濯機も、ほとんどなかった。辛うじてテレビが普及しはじめた時代だった。
 この頃、食品といえば、それを選択する基準は、決して美味ではなく、食べやすさ、調理しやすさでもなく、何よりも腐敗せず、長持ちすることが大切な基準だった。腐敗は本当に恐ろしいものだった。この時代、疾病死亡者の相当割合が食中毒だったのだ。
 だから、腐敗しにくい食品専門店が社会全体に広く普及していた。その名を乾物屋という。

 当時、今とは比較にならないほど、乾物屋の比重が大きかった。取り扱い食品は、①昆布など海産植物 ②煮干し・鰹節など海産動物 ③寒天や干瓢、干し椎茸など ④砂糖・小麦粉など粉類 ⑤調味料類 あげればキリがないが、おおむね今の数十倍の取扱量があり、民衆の食生活は乾物屋に大きく依存していた。
 この最大の理由は、保存性の良い食品を扱っていたということだ。
 今では、その大部分がスーパーで扱われるようになり、乾物屋というカテゴリーはほとんど死滅してしまった。その理由は、おそらく冷蔵庫の登場により、食生活が乾物から生鮮食品にシフトしたからだ。乾物だけでは商売にならなくなったのだ。

 ところが、予測されているように年末に国際貿易が停止し、食料危機が訪れたなら、生鮮食品は引っ張りだこになり、なかなか入手も難しくなるだろう。となれば、再び乾物の出番がやってくる。
 何よりも、その保存性の良さが見直される時代がやってくる。生鮮物の入手がアテにならなくなれば、長期保存可能な乾物に頼るしかないのだ。
 人々は、しばらくの間、乾麺を主食にし、味噌、昆布や干し椎茸や煮干しを食べて生き抜く必要がありそうだ。これなら相当な長期保管が可能になり、白米のように劣化したり虫がつく心配も少ない。

 しかし、そうした乾物も金持ちが買い占めることで、やがて市場から姿を消すことだろう。そうなれば貧しい人たちは、ひたすら田舎を目指して移住し、自分たちで生鮮食品を生産する模索を始めるにちがいない。
 かつて、ソ連が崩壊したとき、物価が100倍を超すようなハイパーインフレに見舞われた。民衆は食料を買うカネもなく飢え始めた。このときソ連民衆を救った、ある伝統があった。それがダーチャという個人農園である。
 ソ連ではジャガイモや野菜類の9割がダーチャで生産されていた。都市生活者の半数以上が自給自足のダーチャを所有していた。このシステムが、あの苛酷な無政府状態のハイパーインフレ下で民衆を飢えから救ったのだ。

 これから年末にかけて、おそらくアメリカ・欧州・日本などで、ソ連崩壊当時の混乱に似たハイパーインフレと食料不足が避けられないだろう。 大勢の人たちが、田舎に移住し、食料生産に取り組む時代がやってくる。 このとき、最大の課題になるのが、農産物の生産、その防御、そして収穫と保管である。
 我々は、意識して、この課題を克服しなければならなくなる。

 筆者の5年間の経験からいうと、農作物の被害の深刻さの度合いから① ネズミ ②アライグマ(ハクビシン) ③カラス ④イノシシ ⑤カモシカ ⑥その他 である。 昨年5キロの種芋で70キロのジャガイモを収穫したが、その三分の一はネズミに食害されていた。また、台所にネズミが出入りし、相当数の食品が食い荒らされている。イノシシやカモシカなどは、畑に頑丈な柵を設けることで、ある程度防御可能である。アライグマはオオタカとならんで養鶏の天敵といってよい。スイカなど瓜類が好物で、防御なければ、収穫皆無となる。
 ネズミは防御が非常に難しい。穴を掘って地下で繁殖するので、ネットや柵などは効果がなく、結局、天敵のネコや蛇に頼るしかなく、ネコを入れればアライグマも入るので、蛇を大切にすることになる。
 上に書かなかったが、もちろん最大の被害は虫で、これは、畑の周囲にお茶の木のようなクモ生息場所を確保することで、天敵の地クモにより害虫退治を図ることが大切だ。だから、畑を完全に独立させず、周囲に雑草や林の原自然を残す必要がある。

 収穫物の保存も、相当に高度な技術が必要だ。ジャガイモなどは、露光させるとソラニンの青芋に変わり食べられなくなる。このため、漬物用ポリバケツを8割以上地中に埋めて、中に保存する。壊れやすいものだと水で腐ったりネズミに食害される。
 青菜類や大根ニンジンなども大量収穫後、漬物にする技術を持っていないと、みすみす腐らせて大変だ。これからの時代、漬物技術は農業の核心分野になるだろう。
 とりわけサイレージ食品に対する深い造詣が必要だ。

 古代、人々はやはりネズミに困り果てた。イノシシなどは大切な食料にもなるから、まだマシだった。ネズミ食害を防ぐために、さまざまな知恵を産み出した。
 例えば、高床式の家や倉庫は、湿気を防ぐためと、ネズミを追い返す構造的トラップから生まれたものだ。ネズミが侵入しないように、家の柱には、必ず「ネズミ返し」設けられ、階段も直結しなかった。
 今後、ジャガイモやサツマイモを保存する施設を作る上で、こうした知識は絶対的に重要である。これからは、ネズミ以外にも、アライグマ・ハクビシン返しの意味も含まれるようになり、より大型の防御板を作らねばならなくなるだろう。
 気象上の保管問題、大雨、洪水、高湿度、長期乾燥なども、古代人の知恵を学び返す必要がある。正倉院に用いられている湿度調整と通風のための校倉(あぜくら)作りなどは十分に今でも合理的であり、検討する必要がある。
 さらに、飢えた人々が彷徨うようになれば、襲撃、盗難問題も頻発することになり、まるで戦国時代のような荒んだ社会が避けられないわけで、やはり戦国時代の知恵に学ぶ必要がある。
 当時は、兵糧食料の長期保存に大きな知恵が発揮されていた。
 例えば、乾物類は土壁に塗り込めることが行われ、これは最後の最後に家の壁を壊して食料を入手するシステムだ。また荷役縄には芋縄が使われたし、芋茎も頻繁に利用された。
 革製品もいざとなったら煮込んで食料になる。周恩来が、長征時代、食料が枯渇して、バンドや靴など革製品を食べて飢えを凌いだことを述懐していたが、戦国時代では、武具を食料で作ることなども大切な知恵だった。
 これからは、乾物を土壁に塗り込めるようなことも必要になるかもしれない。

 我々の基本食料はスローフードだと何度も書いてきた。それは玄米・味噌・漬物を三種の神器とすることであり、他に、豆焦がし、はったい粉、きな粉などの利用も習熟する必要がある。
 つい30年前まで、東アジア照葉樹林帯地域では、民衆は携帯用漆器とそば粉・はったい粉・きな粉を腰にぶら下げて三日くらいの徒歩行程で食べながら移動していた。日本でも同じだ。やがて、こうした知恵が復活することだろう。
 社会が大混乱に陥れば、移動にあたって、食堂などどこにも営業していないことになる。通貨は信用を失い、物々交換の時代がやってくる。そうなれば、移動は、はったい粉、そば粉のような加熱不要の粉食品を溶いて食べながらになるはずだ。

 我々は、これから生き抜くために、アタマを使わねばならない時代になる。
 これまでは資本主義という家畜社会があり、何も考えずに、言われたことだけを素直になっていればよかった。家畜は余計な知恵を身につけては支配者の邪魔になる。だからマルバツ式のテストで、人を出し抜くことばかり覚えさせ、その実、真の知恵は絶対に身につかないような洗脳教育を行ってきた。

 人々は、資本主義に奉仕する家畜として飼育されてきたのである。
 ところが、その資本主義が根底から崩壊しているのが今だ。年末までに、資本主義の金儲けを支えてきた、あらゆる生産手段、資本、組織が崩壊するのである。
 これまで自分の真実が見えない馬鹿として洗脳されてきた分だけ、荒野に放り出された羊になるわけで、生き延びるのは容易なことではない。

 我々は野生に帰るしかない。信頼のおける仲間と手を携え、人情・愛情・友情だけを心の支えに生き抜いてゆくのだ。
 このとき必要になる最大の能力は、「先を見通す」ということだ。
 半年後の食事を確保するために、今、種を蒔かねばならない時代になるのだ。職安に行けば職があり、食堂に行けばメシがある便利なシステムは失われるしかない。メシを食いたければ、半年前に種を蒔き、半年間、大切に育て、保管しなればならない時代なのだ。
 農業というのは、漁撈・狩猟と違って、行けばあるというものではない。とてつもない計画性と長期の視野、それに忍耐が必要なのであり、遠い先を読んで、みんなを説得し、忍耐強く確実に実行を重ねて、やっとの思いで収穫を手に入れ、さらに知恵を絞って、それを保管し、やっと生き抜いてゆけるのである。

  追記
 これを書いた後、畑に行った。今朝は4時頃からニワトリが大騒ぎしたので、鶏舎に行ったが別に異変はなかった。ところが、そのときは気づかなかったが、先ほど行ってみると、ジャガイモ畑が妙にすっきりしている。 変だと思って見てみると、なんと、二割くらいの畝が掘り返されて、芋だけ抜かれて跡形もなかった。 掘り返した跡があった。 イノシシだ!
 高さ1mの鉄筋メッシュとネットで周囲を囲って、これまで被害はなかったが、どうやら飛び越えて侵入したらしい。まいった。 すぐにネットや防御対策を購入にいった。これまでの経験方、すぐにやらないと居付きになって繰り返し襲ってきて、根こそぎやられてしまう。 ネットを二段にして、倍の高さにしなければ、センサー警報機もセットしなければ。 田舎暮らしは大変だ!

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