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2009年6月11日 ●制裁社会のもたらすもの

カテゴリ : 無題


 なんとしても報復処刑したいのか!

 【毎日引用: 東京都江東区のマンションで08年4月、会社員、東城瑠理香(るりか)さん(当時23歳)を殺害したとして殺人や死体損壊罪などに問われた元派遣社員、星島貴徳被告(34)に対する東京高裁(山崎学裁判長)の控訴審第1回公判で、検察側は11日、「残虐、冷酷で遺族の処罰感情は峻烈(しゅんれつ)。被害者が1人でも死刑を選択すべきだ」と東京地裁の無期懲役判決(2月)を破棄するよう求めた。弁護側は控訴棄却を主張した。7月16日に結審する予定。

 1審は殺人に計画性がないことや、突き刺した回数が1回だったことから「方法が執拗(しつよう)とは言えない」と判断した。検察側は「被害者を性奴隷にするという計画自体が実現不可能で、いずれ殺害しなければならなくなるのは予測がつく。突き刺したのが1回だったのは、被害者の手足を縛り抵抗できなかったからだ」と反論。「遺体を切り刻みトイレから汚物同然に流すなど凄惨(せいさん)極まりない。1審は犯行を正当に評価しておらず不当」と1審の求刑通り死刑適用を求めた。

 続いて瑠理香さんの姉が検察側証人として出廷し「ばらばらにされたのに残虐ではないという1審は理解できない。悪い夢の中で生きているよう」と訴えた。さらに母親は「事件で時間が止まったまま。何もできない自分にいらだち涙が出てくる。死刑になれば新しい一歩を踏み出せる」と述べた。出廷義務がないため、被告は不在だった。】

● 「神隠し殺人事件」の星島被告は、一審で無期懲役(現在は終身服役者3:借釈放2で事実上、終身刑)だったが、遺族も、その処罰感情を利用する検察も苛酷な量刑に飽きたらず、なんとしても星島を処刑抹殺したいようだ。
 そんなことをすれば、星島の犯罪と同じ愚かなことを国が代わって行うことになるわけで、それを求める遺族も殺人に荷担するのと同じことなのだ。
 どうして、このことが理解できないのか、そのお粗末な知性に呆れるばかりだ。

 犯人憎しという感情は人間として当然だ。筆者だって、被害者が自分の身内で、その場に居合わせたなら、犯人に激怒して殺害してしまう可能性は強いと思う。
 人は感情の動物であり、怒ることができなくなれば、ロボトミー手術を受けさせられた家畜人のようなものであり、人生を楽しみ、感動する力さえ失ってしまうだろう。
 大いに怒るべきだ。笑うべきだ。悲しむべきだ。ときには怒りのあまり失敗することも当然だ。人間なのだから・・・・・。
 しかし、感情は風化するものであり、人は感情のみに生きているわけではない。
 人には感情を超えた理性が備わっている。これが「思惟の力」である。怒った後で、「しまった、こうすればよかった」と、よりよい行動を考え、実践する能力を持っている。
 人は感情的であるとともに理性的なのだ。
 しかし、それは互いにせめぎ合っていて、どちらかに偏り、バランスを失うことも多い。人間なのだから・・・・・。

 星島が東城さんを殺害したときも、その場の性欲、激情に焚きつけられて理性を見失ったのであり、たまたま、それが凄惨な結果を生んだ。東城さんは二度と還ってこない。星島は取り返しのつかない馬鹿な失敗をした。
 だが、人というものは愚かな過ちを犯すものだ。人間なのだから・・・・・。

 だが、遺族もまた復讐感情に焚きつけられて必要のない殺人を犯そうとしているのだ。
 無期とはいえ、おそらく星島は事実上終身刑になるのだ。仮に出所できるとしても、すでに老人になっているだろう。それでも不足か? どうしても彼の苦悶に満ちた凄惨な絞首刑を実現させなければ気がすまないのか?

 国家による殺人が正当化されるわけではない。殺人は、いかなる理由をつけても愚かな人殺しに他ならない。それは犯罪なのだ。報復制裁の殺人が正義であるという屁理屈は、程度の低い独善的な正当化にすぎない。

 遺族が求めているものは、身内を失って辛い、悲しい、悔しいという激情を、星島への制裁復讐により癒そうとするものだろう。だが、それは決して理性の導き出したものではない。報復感情から一歩も前進していない下劣なものだ。
 仮に、遺族の憎悪、復讐感情を権力が汲んで星島が処刑されたなら、遺族にとって殺人に直接荷担し、星島と同じ愚かな過ちを犯したことになるのであって、星島の行為と変わらぬ重い十字架を産み出すだけであり、もはや彼を糾弾する資格など存在しない。

 こうした報復制裁の処刑が、犯罪を繰り返さないために意味があるという屁理屈もお粗末な詭弁にすぎない。
 いったい、過去の歴史のどこに、報復によって犯罪を抑制できた事実があるというのか? 犯罪を制裁で対処するならば、それは犯罪をますます増大させる結果しかもたらさないのだ。
 人は過ちを指摘され、制裁されることで、それを是正できるような資質をもっていない。制裁されるなら、過ちを反省するどころか、ますます反発し、もっとひどい過ちを犯してやろうと思うようにプログラムされているのである。
 子供を叱ることで、その短所が是正された経験があるだろうか? ほとんどの場合は、逆に、良いところを褒め称えることで、長所を伸ばし、そのなかで自ら短所を克服するのである。叱られて短所を克服できるほど、人は便利に作られていない。
 
 国家権力を代表する検察が望んでいる社会は、人々が復讐の恐怖によって互いを監視し、非難しあい、制裁し合う恐怖社会なのである。
 民衆が、心豊かな寛容を求めるような社会では、国家権力など、その意味を失うのだ。国家を維持してゆくためには、刑罰と武力で、国民を奴隷のように飼育するのが望ましいのである。このため、検察は人々の短絡的な感情を利用して、制裁報復を原理とする管理社会を作りたがるのだ。

 こうした制裁報復の論理が、広く受け入れられた社会では、人間はのびのびとした自由な心を失い、相互に監視しあい、欠点を批判しあい、制裁しあうような世にも息苦しい管理社会ができあがる。その代表的な例が北朝鮮である。
 人々が、愛情ではなく処罰への恐怖心によって支配される北朝鮮のような社会では、人間は国家権力の家畜にすぎない。利用され、ポイ捨てされる運命に生きるだけだ。
 我々が、真に人間性を解放できる自由な社会を求めようとするならば、それは、制裁の恐怖に怯えて小さく縮こまって生きる息苦しい社会ではなく、人の欠点、失敗、過ちに寛容になり、制裁ではなく、教育や治療によって問題を解決しようとする姿勢を持たなければならない。
 過ちに報復するのではない。過ちの原因を調べ、愛情のなかで一緒に解決するのであり、人のすべての過ちを病気や事故、失敗として捉え、それを糾弾、報復するのではなく、原因を確かめ、繰り返さないように対策し、教育、治療する姿勢によって、はじめて問題が解決できるのだ。

 この意味で、愚かで取り返しのつかない殺人を行った星島だが、復讐しようとするだけなら彼を処刑抹殺すればよいのだが、我々は感情の動物でなく、未来に生きる子供たちのために、同じような過ちを繰り返させないための問題解決をしなければならない。
 それが子供たちの未来を用意するという我々の責任ではないか?
 だから星島を絞首刑にして、この世から消してしまえば解決するわけでは断じてなく、彼が、なぜあのような行為に走ったのか、十分調査研究し、もし病気なら治療し、誤った思想ならば教育して更正し、残った人生で、遺族や社会にお詫びできる貢献を行わせるのが、子供たちの未来を正しく作り出す唯一の姿勢なのである。

 死刑は愚かな殺人にすぎない。それは復讐制裁の論理にすぎず、間違いや失敗、病気を切り捨て抹殺する思想であり、究極の優生保護思想と言えるだろう。
 だが、人は本来弱い生き物であり、とてもデリケートで、すぐに失敗するように作られているのだ。失敗しない、過ちを犯さない人が、この世に一人でもいるというのか?
 失敗は人間の最大の属性なのである。

 死刑は完全に間違った、人類のもっとも愚かな手段であり法である。
 死刑によって解決できるものなど一つもない。死刑は、新たな犯罪を産み出し、新たな悲しみと苦悩を再生産するだけなのだ。
 星島だって家族がいる。彼が処刑されるなら、その家族に深い悲しみを与えることになる。新たな悲しみを再生産したいのか?

 そんな復讐ばかりの狭い了見に囚われていないで、子供たちの未来のために、明るく暖かい社会を作りだそうじゃないか。
 明るい社会に死刑はいらない。人は必ず失敗するものであり、それが人間の本質であることが分かるならば、すべての犯罪は病気にすぎないと捉えることができるはずだ。
 病気は治療するのだ。報復制裁するわけではない。子供たちが、同じ問題で苦しまないですむように、もっとも合理的な解決法を我々が用意してやる必要がある。
 明るい未来を作り出すために、復讐感情によって成り立つような愚劣な司法制度を、今すぐにでもやめさせよう。

 星島には、長い時間をかけて刑務所で反省してもらいたい。処刑で遺族の復讐心を満足させることなど何の意味もない。星島が反省して、社会に貢献してもらった方が、はるかに大きな意味があり、子供たちの明るい未来を用意することに役立つのだ。

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