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未来の主力が電気自動車という経営判断は間違っていたこと

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 欧米や中国など、世界中の産業戦略は、EV=電気自動車を軸に動いてきたといえよう。しかし、この見通しは、「トイレなき原発の核廃棄物処理」と同じで、現在、見通しのない超高性能バッテリーの登場を前提としたものにすぎず、「取らぬ狸の皮算用」の範疇にある。

 現在、最高性能といわれる電気自動車の性能は、テスラのモデルSで、価格1000~2000万円、走行距離600Kmで、これなら一般的なガソリンエンジン高級車と遜色ないように見えるが、問題は、バッテリーの耐久性と、充電時間である。

 テスラの世界最高水準のバッテリーを製造しているのはパナソニックだが、これは日産などが、数十セルの電池を利用しているのに対し、数千セルという異次元のバッテリーを搭載しているため、走行中に、一部のバッテリーをリフレッシュ(最適化)しながら、全体の劣化を抑制することができる。
 それでも、20万キロ走行で性能は初期値の90%程度に劣化するようだ。充電時間は数十分程度ともいわれる。
 https://www.trendswatcher.net/052017/science/%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%A9ev%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%8C%E9%AB%98%E5%AF%BF%E5%91%BD%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E7%90%86%E7%94%B1/

 ただし、これはテスラのパナソニック車載バッテリーに限定したことで、例外中の例外である。
 標準的と思われる日産リーフでは、フル充電に8時間、三菱アウトランダーで、4時間といったところ。
 おおむね、ロングドライブの場合は、100Km走行毎に数十分の充電が必要になる。
 https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/charging-time/

 これでは、高速道路を利用した遠出の場合、頻繁に30分程度の充電が必要になり、充電設備の少ない地方に向かうときは、非常用に発電機を持参すればよいように思うが、200Vアース接地が必要で、利用できる携帯発電機は極めて少ないし、人が気楽に扱える重さではない。

 また電気自動車用バッテリーの寿命だが、タクシー会社の事例では、3年でバッテリー性能が半分程度に落ちるとの評価。メーカーの走行距離保証も10万キロ程度が多い。実用上も20万キロで交換が必要になるようだ。
 タクシーの場合は、50万キロは最低、走行する必要があるので、バッテリー交換は必須になる。
 https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/ev-battery-longevity/

 実用的な、一充電あたりの走行距離は200Km程度で、年間2万キロ走行の場合は、10年程度で高額なバッテリー交換が必要になる。
 2019年段階のリーフやアウトランダーのような電気自動車の標準的な性能は、この程度。
 価格はリーフで300万円程度、アウトランダーで400~500万円程度、燃費(電費)は、ガソリン車の5~10分の1程度といわれている。

 燃料費がガソリン車に比べて圧倒的に安いという点では、大きな優位性は動かないように思えるが、50~100万円もするバッテリー交換が、10万キロ毎であり、一晩かけて充電しても、一回、せいぜい200~300キロ程度しか走行できず、しかも充電インフラが少なく、探し回る必要があるのでは、せっかくの燃費優位もトータルで失われてしまう。

 ちなみに私の使用している4駆アルトは、価格90万円程度で、実燃費24Km/㍑(中津川市の田舎道)で、リーフEVと総合比較しても優位にあると思う。
 毎月走行1000K程度、ガソリン代は毎月6000円程度だが、その他経費がずいぶん安く助かっている。

 私の、現段階での電気自動車に対する総合的評価は、充電設備の希薄な地方での長距離使用には向いていない。大都会でも、充電に時間がかかりすぎて、順番待ちが発生する状況では、優位性が失われる。
 次に、電気自動車を安く購入するチャンスがあったとしても、やはりアルトを選ぶだろうということだ。

 こんなわけで、「電気自動車のバラ色の未来」は、経済誌が宣伝したようには行っていない。
 また、中国では、2000年代に入って、雨後の竹の子のように電気自動車産業が勃興し、無数のEV車が登場したものの、やはり、冒頭に紹介したような性能的限界から、今では、電気自動車熱がすっかり醒めてしまったようだ。

 私の印象では、ちょうど原子力発電黎明期に、未来のエネルギーは原子力一色に染まってゆくような宣伝がなされたが、その後の、事故多発、使用済み核燃料の始末が不可能であることや、取り扱いに被曝問題が避けられないなどの致命的な弱点が次々に暴露されて、今では、ウェスチングハウス・東芝・日立といった超大手が、未来への燦々たる希望が泥沼の絶望に変わってしまったことで、社の存亡の危機に晒されているわけだが、だんだん、電気自動車産業も原子力に似てきたように思える。

 EV産業推進一色だった中国政府も、とうとう、EVの限界を思い知らされて、ハイブリッド車の優遇を復活させている。
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190712-00000100-reut-bus_all

 中国共産党政権は、中国の未来産業の機軸に電気自動車とバッテリー産業を据えてきた。理由は、バッテリーの原材料であるレアメタル資源を中国が事実上独占していたことから、全世界の自動車に中国産バッテリーを搭載させることで、グローバルスタンダードの利権を構築しようとしたのである。
 ところが、中国の経営も開発も、基礎的な能力と、伝統的な知見の蓄積がひどく不足し、安全に対する意識の低さから、バッテリー品質に大きな問題を引き起こしてきた。
 https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/246040/092500086/

 つまり、中国では、使用中に爆発を繰り返すような信頼性の乏しいバッテリーしか作ることができず、したがって、低品質バッテリーの上に、信頼性の高いEV製品群を積み上げようとしても、事故に次ぐ事故、問題に次ぐ問題で、ほとんど行き詰まってしまった。
 メンツだけで生きているような中国共産党政府のメンツは丸つぶれになってしまったのである。

 ちなみに、日本でも、最近、以下のようなバッテリー事故が頻発して問題になっているが、大半が安価な中国製電池をネットで購入した結果起きている。
 https://www.j-cast.com/tv/2017/09/12308190.html

 https://www.appps.jp/248742/
 https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/%E8%B2%B7%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84%E3%83%A2%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%A6%8B%E5%88%86%E3%81%91%E6%96%B9%E3%80%82%E7%99%BA%E7%85%99%E3%82%84%E7%81%AB%E7%81%BD%E3%81%8C%E6%80%A5%E5%A2%97%E4%B8%AD/ar-BBQz93e#page=2

 電気自動車でも同じことが起きていて、国産車では信頼性から、まず中国産電池を使うことはないが、中国内では、品質の劣る中国産電池による火災が頻発している。
 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-18/PT9RCJ6JTSE801

 https://www.j-cast.com/2018/09/18338680.html?p=all

 そこで、中国政府も、「EV産業のバラ色の未来」という幻想から、とうとう醒めはじめ、完全EV車よりもハイブリッド車を優遇させるという方針に転換した。

 なんで、中国政府が完全EV車にこだわったかといえば、原動機エンジン車は、100年以上にわたる膨大なノウハウの蓄積の上に乗った技術であり、本当に高い信頼性の車両を製造することは、宇宙ロケットなみに困難な技術力が要求されることになる。
 ところが、中国には、単独でそれを実現する技術の蓄積が存在せず、十八番であるパクリ合弁によって車を作ったものの、とうてい総合的な信頼性を担保できる実力がない。

 ところが、電気自動車は、構造が簡単で、部品総数3万点以上といわれるエンジン自動車に比べて、せいぜい1万点程度で作れてしまう。
 https://www.zaikei.co.jp/article/20190328/502750.html

 これで、技術力やノウハウの蓄積の劣った中国でもEVならば世界と太刀打ちできると甘く考えたわけだ。しかし、冒頭に紹介してきたように、そもそも、基盤となる電池そのものの信頼性が劣り、さらに時速100キロを超える運転の安全性を確保する車両構造体の技術的蓄積は、たとえEVでも容易なことではなかった。

 中国が、ハイブリッド優遇政策を公表したのだが、中国共産党は、おそらくトヨタの特許公開などで、中国内の自動車産業でもハイブリッド車が作れると思ったのだろうが、残念ながら、トヨタ特許が完全公開されても、それを完全に再現できる技術が中国に存在するとは思えない。

 100年以上かけて蓄積された自動車製造技術は、そんなに甘いものではない。おそらく、トヨタ特許を無条件に利用したとしても、中国内の自動車産業がプリウスと同等の車を作れるには、あと半世紀も必要とするのではないだろうか?
 それだけの技術力の圧倒的な格差があるから、トヨタは特許を無条件公開したのだろう。

 いずれにせよ、中国政府だけでなく、日本国内の自動車産業においても、完全EV車の普及は遅々として進んでいない。
 車体価格が高価な上に、インフラ整備も進まない。バッテリーの急速充電技術も、せいぜい5分以内にしないと、ガソリン車に太刀打ちできないだろう。
 10年以上前に、EV車について語られた「バラ色の未来」は、完全に色あせている。まるで原子力産業と同じではないか?

ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が「2022年には電気自動車はエンジン車と競争できる価格になる」とするレポートを発表したことを、アメリカのメディア『Clean Technica』が伝えています。バッテリーの調達コストが劇的に下がっていることが、電気自動車の価格が下がる大きな要因とされています。
 https://blog.evsmart.net/ev-news/electric-vehicles-cost-parity-in-2022/
***************************************************************************:

 2022年だって…… 笑わせるなよ。電気自動車用バッテリーの革命的な技術革新は、実は40年も前から頻繁に語られてきたが、やっとリチウム電池が登場したくらいで、本当の革命とはいえない。
 5分で充電できて500Km走行可能で、30万キロ無交換で性能劣化もなく使用できるEV車用バッテリーが登場すれば、燃費の圧倒的な格差から、本当に電気自動車の時代に変わるが、今の段階では、極めて困難というしかない。

 EV車がもたついている間に、スズキアルトのような安価で高燃費の車が登場し、これはパキスタンやインドで圧倒的なシェアを獲得するので、現実的な世界標準になる可能性が強い。
 充電インフラと超高性能バッテリーの登場まで、あとどれくらいかかるのか?
 私は見通しは厳しいと思う。当分、アルトの天下が続くのではないだろうか?

 その間に、世界は、AI化とか技術革命とかの逆方向に向かい、非知性、独裁、原理主義宗教に向かっていて、もう大戦争なしには収まらないような予感さえする。
 トランプの登場は、人類社会が反知性の妄想世界に向かって駆け出しているとしか思えない。トランプ支持者によって、進化論が否定され、地球平板協会が大手を振って歩く。トランプは、アメリカから移民を本格的に追放しはじめた。
 本当に追放されるのは、自分と妻だということさえ理解していない。

 人類社会は、進化、合理化の道筋から逸脱し、反知性主義の泥沼にはまり込んで、まさに滅亡の道を歩んでいることを知っておくべきである。
 車よりも、耕運機よりも、鋤や鍬で畑を耕す時代に戻ることを考えなければならない。
 

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