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 50年前

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 藤圭子が2013年、新宿のマンションから飛び降り自殺したのは衝撃だった。
 彼女が「新宿の女」でデビューしたのは1969年、ちょうど今から50年前だ。
 私は、毎日のように都心でのデモに参加して催涙弾に逃げ惑い、小便横町でホッピーに泥酔しながら聞いた藤圭子の歌が岡林信康と同じくらい好きだった。

 西口公園のベンチの上で一晩を過ごしていると、どこからともなく、すばらしく上手な藤圭子の歌が聞こえてくる。
 歌のうまさ、情緒的に聞かせる迫力ときたら、当時の歌謡御三家、美空ひばり、島倉千代子、都はるみよりも上を行くのではと思ったほどだ。
 確か、私より、二つほど年上なのだが、ほぼ同世代なので、こんな凄い子が突然、芸能界に旋風を巻き起こしている姿に拍手喝采だった。

 藤圭子には学歴もなく、親子で日暮里のトンネル通路に野宿していたこともあると聞き、その極貧の環境から這い上がって、圧倒的な実力で一世を風靡する姿は感動的だった。
 https://www.youtube.com/watch?v=MoVKTIO5S64&t=4777s

 地下トンネルといえば、「火垂るの墓」の冒頭に、清太が三宮駅の構内で餓死した姿が目に浮かぶ。同じ頃、敗戦直後だが、上野駅の地下歩道に暮らす数百名の戦災孤児たちが、毎日のように餓死していったことが知られる。
 日本が戦争に負けて、戦火から解放されたのは、1945年だが、それから20年以上経た、1960年代末でも、まだ「戦後」から抜け出せていなかった。

 権力側としては、1964年の東京オリンピックを戦後の終わりとしたかったようで、戦争のさまざまな残渣を、東京に来る観光客の目から逸らすための工作を行って、上野地下道からも野宿者を追放していたが、藤圭子一家は、まだトンネルのなかにいた。
 上のドギュメンタリーにも描かれているが、戦争中と同じように、圭子は食うや食わずで、太れない体質になり、その衣装は小さすぎて誰も着ることができなかったという。
 オードリーヘップバーンも、戦火のなかで、同じように食べ物がなくて太れない体になったと言っている。

 何度か書いたが、名古屋市の赤線大門から栄に至る広小路通りに、夕方になるとカーバイドの屋台が延々と並んで、ドテと酒を売ったのだが、本当は、これは戦争未亡人たちが、体を売って生活費を稼ぐための舞台だった。
 これが、東京オリンピックの前に、一斉に摘発されて姿を消した。ちょうど、この頃から、政府とメディアは、「敗戦」を「終戦」と言い換えるようになった。
 政府は、戦争未亡人たちの生活を、ろくに支援しようとしなかった。彼女らは、助け合って、赤提灯の小さな飲み屋を開業し、現在の居酒屋文化につながっている。

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-5.html

 いわゆる「妾」という一夫多妻制度も、戦争未亡人たちを救うためのものでもあった。
 https://higonosuke.hatenablog.com/entry/20070119

 イスラム文化における多妻制も、同じ意味を持っていたのだ。

 だが、どんなに政府が、「戦後」を見せかけだけで消そうとしても、それは、決して終わっていなかった。
 東京では戦後が消えても、地方にはしっかりと残っていて、そんな地方から藤圭子一家は上京してきたのだ。
 私には、藤圭子という存在が、「戦後」の民衆の苦難を背負って登場した菩薩のように見えた。
 バブル時代に突入してゆくなかで、ウソではない、世間から遠く隠された真実の日本を、歌の中で垣間見せてくれた。

 藤圭子が日暮里のトンネルに野宿していたころ、私は早朝5時に、高田馬場駅前で日雇いの仕事を探した。
 オリンピックの景気高揚を引き継いだ70年代初めの好況時に、高田の馬場で、建築現場の仕事をすると、5000円くらいもらえて、それだけあれば、当時は三日くらい楽に過ごすことができた。

 当時は、年金をかけられるような、ゆとりのある給与をもらっている人も少なく、社会保証制度そのものも未熟な時代だったから、こうした「たちんぼ」と呼ばれる人足寄場の存在は、何の保証もない底辺の生活者にとって最後の命綱であり、救いだった。

 当時、立川に住んでいたのだが、新宿から立川に向かって、よく歩いたものだ。金がなかったわけではない。ただ、歩きに歩いて、東京の雰囲気を肌で感じたかったのだ。 仕事のないときは、奥多摩に向かった。当時は、まだ山渓地図もなくて、地理院の五万図が頼りだった。自分の歩いたルートに赤線を書き込んでゆき、地図が真っ赤になってゆくのが嬉しくてたまらなかった。

 歩くというのは、私にとって青春と同義語だった。
 同時に、藤圭子や岡林信康の歌も青春だった。なんで、藤圭子に惹かれたかといえば、当時、バブルに向かう資本主義社会の最盛期で、社会全体に金儲けを目的にしたウソが満ちていて、無垢のお嬢様や、セレブ、上流階級への憧れという価値観がテレビでもてはやされていた時代のなかで、彼女の持つ虚飾のなさ、恵まれない、社会から排除される立場の、マイナーな価値観に引き寄せられたのだ。

 時代は、本当に「戦後」を粉砕する破壊力に満ちたバブル時代に突入していった。
 原動力になったのは、たぶん田中角栄だろう。
 角栄が登場したのは1972年であり、日本を本当にアメリカから独立させようとしたことが原因で、CIAによってロッキード事件に嵌められて追放されたのが1974年であった。
 その間に「日本列島改造論」を打ち上げ、赤字国債を発行して大規模な景気浮揚を行ったことで、バブル時代が始まったのだ。

 我々、反原発派にとって角栄は、日本に原発を導入した正力松太郎、原発利権をゼネコンに癒着させた中曽根康弘とならんで、原発利権三羽ガラスであり、いってみれば福島第一原発事故の遠因であり、これから日本民族を滅ぼすことになる放射能汚染=悪魔の元凶であるともいえる。
 しかし、紛れもなく、戦後を本当に終わらせた張本人であった。

 50年前、1969年、「巨人・大鵬・卵焼き」の時代。
ニクソンが第37代アメリカ合衆国大統領に就任し、ラオスやカンボジア、そして北ベトナムに大規模な爆撃を始めたことで、ベトナム戦争の泥沼が劇的に拡大した。
 当時、本多勝一の現地報告にも触発されて、私は勉強や学歴どころではなくなった。結構な進学校にいたのだが、右翼的な教師と衝突して、嫌気がさし東京に出奔した。
 そして、毎日のように催涙ガスの漂う都心のデモに参加していた。

 美濃部亮吉東京都知事が、東京都主催の公営ギャンブルを廃止した。博打は人を幸福にするものではないと美濃部は初めて公的立場で叫んだ。
 今の、安倍晋三や麻生太郎ら、公営博打推進者たちに、耳元で音量を千倍にして聞かせてやりたい。

 7月20日 - アポロ11号が人類初の月面有人着陸を果たす。
 これは、当初から、「映像がインチキだ、まるで月面に空気があるような物理法則に反した映像は、地上で撮影されたものだ」という批判が巻き起こっていた。
 真空下では、月面走行車が巻き上げた砂塵が、必ず放物線を描いて地面に落下するが、公表された映像は、おかしなものばかりだった。
 真空下における着陸船の噴射制御は、今でも超高度な難易度があり、当時の技術では不可能。
 https://www.voynich.com/moon/index.html

https://www.youtube.com/watch?v=2WIs_PwSqCA

 時代は、まだウソに満ちていた。
 CIAは、戦後日本に最大級の警戒心を持ち、米国の意向から外れる政権を絶対に許さなかった。角栄が追放されたのも、そうだし、橋本龍太郎が殺されたのも、CIAによる自民党政治家への警告だった。
 https://ameblo.jp/ghostripon/entry-12237022306.html

 50年を経た、現代に至って、政治のウソは力を失うどころか、ますますウソの上にウソが建設されるような、巨大な虚構となった。
 私は美濃部亮吉が、「博打は人々を不幸にする汚い仕組み」と言えた半世紀前にこそ、今よりも大きな知性と真実が存在したと思う。

 トランプが登場し、知性というものが、この世のどこかに消えてしまったかのようだ。
 中国やブラジルの独裁政権によって、ロシアのタイガや、アマゾン、カリマンタンなどの巨大森林地帯が、商業目的で無残な皆伐を受け続けている結果、地球上は、一目散に滅亡に向かって駆け出しているようにさえ思える。

 毎年のように凄まじい酷暑がやってくる。
 これは、森林伐採の直接の影響である。巨大森林は地球気象の緩衝としての役割を果たしてきたのだから。
 地球気象はクッションを失って、極端から極端に変化するようになった。シリコンバレーでは60度という気温まで観測され、そして、今度は春秋を失って、いきなり厳冬がやってくる。
 決して「地球温暖化」ではない。むしろ、地球は小氷期に確実に向かっている。酷暑は、森林という緩衝材を失ったせいなのだ。
 我々は、これから、秋のない厳冬を経験させられるだろう。それも、経験したことのないような極低温で、水道管も上水道システムも、一度で壊れてしまうような代物だ。

 50年前には、世界に知性があった。当時の指導者なら、地球環境を激変させる、こうした愚かな産業優先主義に歯止めを打ち込んだことだろうが、今は違う。
 トランプもプーチンも、習も文も、安倍も、もちろんブラジルのボルソナールも、自分の利権以外に何一つ興味のないクズばかりだ。

見る間に地球が壊れてゆく。安倍晋三が登場して、見る間に日本政府が壊れていったのと同じだ。人間も壊れてゆく。
 東京電力が放出した放射能により、子供たちの知性が失われてゆく。大人たちは認知症になってゆく。何もかも壊れてゆく。
 50年前に、誰が、こんな現実を予想しただろう?

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