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洪水対策のためのダム事前放流について

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 昨年、2018年7月7日の集中豪雨によって、愛媛県肱川流域の野村ダム・鹿野川ダムの緊急放流が越堤洪水をもたらした結果、流域の住民8名が死亡し、莫大な家屋の損失が発生した。。

 https://yamba-net.org/42728/

 7月6日の西日本豪雨で、広島県呉市の野呂川ダムにあっても、規定違反の放流により下流に大規模な被害をもたらした。
 https://yamba-net.org/43027/

 今回、台風19号による豪雨によっても、各地のダムが緊急放流を行い、下流域に洪水被害をもたらした可能性がある。

 このとき、大洪水になる恐れが予見できながら、事前に水位調節放流を行わなかったと指弾されるダムが存在している。

 【事前の水位調節がされなかったとされる6ダム】
美和ダム・高柴ダム・水沼ダム・竜神ダム・塩原ダム・城山ダム

 このうち、城山ダムについては、一部で事前放流が行われた結果、緊急放流を停止できたという情報もある。結果として相模川水系における洪水氾濫は確認されていない。
 https://surprise-kinenbi.com/lifemoney/kinkyuhoryu-why-beforehand/

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 巨大な降雨災害が予測された場合、事前にダムの水位調節をするのは、ごく常識のはずだし、それをせずに肱川水系のような大災害が引き起こされた場合、ダム管理者は法的責任を免れないはずだ。
 しかし、調べてみると、豪雨が予測されていても事前の水位調節に関する明確な規定はなく、逆に、それを阻止するような規定ばかりある。

 電力土木事業協会の規定を見ると、我が目を疑うようなことが書かれていた。
 http://www.jepoc.or.jp/tecinfo/library.php?_w=Library&_x=detail&library_id=180

  事前放流の実施にあたっての基本的事項は以下のとおり。

○事前放流した利水容量を回復させることが大前提となる。
○ダム毎に事前放流実施要領を作成し,関係利水者の同意と地方整備局長等の承認が必要となる。
○実施する場合は,関係利水者に予め通知される。
○事前放流した利水容量が回復しなかった場合は,利水事業者が機能回復のために実施した措置に対し,ダム管理者が利水事業者と協議の上,要した費用を負担する。
****************************************************************************

事前放流の水量が回復しなかった場合、ダム管理者が利水事業者に賠償すると書かれている。
 つまり、「集中豪雨が来ることで、下流の安全を守るために事前放流したとき、もしも放流分が大雨で回復しなければ、ダム管理者に賠償させる」というのだ。
 これには驚いた。こんな規定があれば、ダム管理者は事前放流をするわけがない。いったい、誰がこんな馬鹿げた規定を作ったんだ?

 「電力土木事業協会」というのは、東電や関電など電力企業の機関だろう。巨大な放射能事故を起こして人々を殺し、生活を破壊しても、ろくに賠償もしない電力企業が、流域の安全のために事前放流して、それが回復しなければ賠償させると脅しているわけだ。
 こんな姿勢で、ダムを運営していれば、放流による大災害が起きるわけだし、原発事故も当然の帰結だろう。

 国交省のPDFにも、緊急放流の被害予防よりも、利水事業者(ダムの水を利用している企業)の利益を守る姿勢ばかり書かれている。
 https://www.kkr.mlit.go.jp/river/iinkaikatsudou/ryuikiiinkai/qgl8vl0000006cdo-att/150123siryou5.pdf

 これは、利水利用者の権利と、放流による洪水被害者の権利を天秤にかければ、間違いなく後者が桁違いに重いはずなのに、完全に優先順位を見誤った愚かすぎる判断である。
 ダム水利用者(この場合、多くは電力企業、一部は自治体水道事業)事業者の権利のためには、下流でどんな犠牲がでようと関係ないとでも言いたそうな内容で、「どこの馬鹿が作った文章だ!」と私は憤りを抑えられない。

 治水事業者の利権ばかりを守ろうとした国交省の姿勢から、肱川水系の緊急放流が何を生み出したのか? もう一度再確認しよう。

 肱川大水害で最大級の被害地域で見た、無治水の惨状。ダム偏重による行政の倒錯と怠慢が生んだ人災
 https://hbol.jp/178935

 肱川大水害は、愛媛県と国土交通省の60年に及ぶダム偏重治水事業「肱川方式」の失敗が招いた災害
 https://hbol.jp/179827

 ダム偏重政策が招いた「肱川大水害」。今こそダム建設継続より肱川の河道改修に全力を投じよ
 http://suigenren.jp/news/2019/04/05/11537/

 実は、ダム問題には、戦前からの人権無視の大きな闇が潜んでいる。私は、当ブログで、何度も告発してきた。以下は、10年以上前に書いた、私のブログである。

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-187.html

 http://blog.livedoor.jp/hirukawamura/archives/1016984.html?.link_prev=1

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-184.html

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-183.html

 http://blog.livedoor.jp/hirukawamura/archives/1080797.html

 実は、国交省が作ったダムは、30年ほど前から、ほとんど発電機能を目的としていない。最新の八ッ場ダムを見れば分かる。
 https://yamba-net.org/gaiyou/hatsuden/

 https://www.kkr.mlit.go.jp/river/yodoriver_old/iken_shuu/bessi/bessi_1152.pdf

 なぜ、こうなるかというと、水力発電が大量の電気をまかなうと、原子力発電の価値が下がるからであり、原発が不可欠のインフラであるかのような自民党と政府のウソを通すためには、原発を稼働しなければ、日本は電力不足に陥るという新たなウソを作る必要があるからなのだ。
 発電しないダムに何の必然性があるかというと、国交省は、代わりに「治水目的」を据えた。
 しかし、この治水が上に述べてきたように、むしろ緊急放流による大災害を作り出しているのである。

 私は、ダム緊急放流というと、丹沢、1999年8月に起きた玄倉川水難事故13名死亡事件を思い出す。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E5%80%89%E5%B7%9D%E6%B0%B4%E9%9B%A3%E4%BA%8B%E6%95%85

 http://www.yoho.jp/shibu/seibu/public_html/page7-5.htm

 このときは、流されたキャンプ集団に大きな非があったとされているが、上流のダム管理者が、停止要請にもかかわらず越堤水流を怖れて緊急放流を続けたことで、このような悲惨な事件になった。
 私から見れば、放流したダム管理者による殺人とも言えるのである。30分放流を止めれば、おそらくみんな救助されたことだろう。
 これは、本質的に見れば肱川ダム水害と同じ、利権優先の思想から来ていると私には思える。

 一連のダム問題は、結局、近年、中曽根康弘が導入した、金儲け最優先の新自由主義思想から来ているのだ。
 「カネと利権がすべて」という新自由主義の価値観の下では、命も人権も紙くずのように扱われてゆく。我々は、新自由主義の価値観を自ら否定しないかぎり、安倍晋三のようなクズが登場してきて、日本人の歴史も生活も、すべて破壊し尽くしてゆく流れを断ち切ることはできないのだ。

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