FC2ブログ

Entries

 一億総不審人物時代

カテゴリ : 未分類

 一億総不審人物時代

 私が、中津川市の山奥の村に移住したのが2003年で、それから、すでに16年が経過した。
 最初は、土地に安物のスーパーハウスをポンと置いて、地目が山林になっている雑木林を切り開き、宅地を造って、100万円で売られていた杉間伐材の木造キットハウスを自分で組み立てた。

 ついでに書いておくが、スーパーハウスの安物は駄目だ。厳冬期マイナス10度以下になる当地では、一晩中ストーブを焚いていても、外で寝ているのと変わらず、布団にくるまっていても顔が凍って、痛くて仕方ない。。
 高級品の断熱性の良いものならいいかもしれないが、だったら、親和木材あたりのキットハウスを20万円ほど余分に出して組み立ててもらった方がマシなような気がする。
 厚手の杉材ログの断熱性は非常に良いので冬が楽だ。スーパーハウスの良さは、耐久性が抜群だし、変形が起きないということだろうか。

 トイレも浄化槽も、水回りも、何もかも自分で作らねばならなかった。ただ、井戸と電気だけは、さすがに自分では無理だったので依頼して作ってもらった。
 井戸は4mの浅井戸をユンボで掘ってもらったが費用は20万円だった。今では、倍くらいするかもしれない。
 電気は、最初は20Aだったが、溶接機が使えないので40Aの配電盤を作ってもらい、配線は自分でこなした。とりあえず、十数年使ってトラブルは起きていない。

 今では、安い年金が振り込まれるようになり、最低限、飢える心配はなくなったが、移住後、毎月、預金通帳の残高を見ながら、いつ金欠が起きるのか不安で、底が見えたらタクシーに乗務しようと思っていた。

 ところが、次々におかしな病気になってしまい、生きているのが不思議なくらいだが、周囲がすべて山や丘陵なので、毎日、植物の気を浴びながら歩き回ることで生き続けていられる。
 深い自然のなかでの静かな生活は、一度味わうと、例え布団にムカデが侵入しようとも、もう大都会に戻ることなどできない。
 それに、田舎暮らしは自炊ができないと無理なのだが、自炊はひどく安上がりなのだ。たぶん食品は、月2万円で十分お釣りがきているはずだ。

 当地は稀少鉱石を算出する花崗岩地帯なので、井戸水のスペクトルを調べると、トリウム系列のピーク(例えばトロン=Rn220)が出てしまい、飲料水は、2㍑50円と、ひどく安いピュアの森というペット水を使っている。
 風呂はトロン温泉だから、とても気持ちがいい。

 今、生活費で高くついているのは浄化槽である。これは、貯留槽と排水槽の二槽を、ブロアで曝気し、汚泥ポンプで循環させているので、電気代が毎月2000円くらいかかるのに加えて、EM菌のモルトが1本2000円以上、20K5000円の糖蜜を3㍑入れて、50㍑ の培養液を作ると3000円程度、二ヶ月分で7000円が浄化槽維持費である。
 さらに、ユスリカ発生防止のデミリン発泡錠が、毎月300円分くらい必要になる。十日に一度は浄化槽に投入しなければユスリカが大量に出る。排水は、全部畑に流している。まったく臭いがなく実に清潔である。
 しかし、上下水道料金を考えれば、多少安くなっていると思う。

 こちらに移住して、本当に驚かされたのは、子供たちの態度の素晴らしさだった。名古屋での私の子供時代には考えられない礼儀正しさだった。
 なにせ、出会う子供、全員が必ず、見知らぬ私に「おはよう、こんにちわ」と頭を下げて挨拶するのだ。本当の山村田舎だから、みんなすれていない。年に一度は杵振り祭という無形文化財、春祭りの主役として、全員が参加するのだが、その表情が、純粋、純朴で素晴らしい。心の底から嬉しそうにしている。

 ところがだ、2007年リーマンショックの頃から、この魅力的な山村が大きく変貌を遂げ始めたのだ。
 まず、秋になってカメムシが激増し、毎冬屋内に侵入するカメムシが半端ない数になって辟易させられるようになった。ついでにいえば、屋内にムカデが侵入してくるので、使いたくなかったオルトラン農薬を床下に散布(臭いで防除)するようになり、屋内では青森ヒバ油をハッカ油に混ぜてスプレーしている。
 また、昔は「マムシ平」という地名がついていたと聞かされ、ゲゲゲと驚いたが、夏場は毎日のように庭にマムシが徘徊していた。
 これは、石灰硫黄合剤を大量に買って、庭に噴霧するようになって現れなくなった。

 2007年あたりを境にして、それまで村に防獣施設など皆無だったのが、どこの農家もメッシュ鉄筋や電柵など防獣施設を設置しなければ農業が不可能になってしまった。
 近所で、毎年カボチャを作ってきた、お婆さんは、せっかく育てたカボチャをすべてイノシシに食べられて意欲を失い、その土地は、すべて太陽光発電所に変わった。

 イノシシは、夜間徘徊していて、我が家の庭にも平然と入ってくる。秋になるとどんぐりを食べにくるのだ。カモシカがいるときもある。希には、熊が来た痕跡も見つけることがある。
 だから、慌てて、敷地周囲にメッシュ鉄筋の防護柵を設置する羽目になった。
 土地の古老に聞いても、こんなに動物が侵入してくるようになったのは、記憶にないという。

 2014年頃からだろうか、「よい子の見本」のような子供たちにも、少しずつ変化が現れはじめた。
 道で出会っても、挨拶をしない子供が出てきたのだ。とうとう、この村にも人間疎外=都会化の波が押し寄せてきたのか、と思ったが、ちょうど、この頃、中津川市防災メールを登録受信するようになり、その原因に心当たりがいった。

 ごく最近のメールを紹介しよう。
***********************************************************************
不審者情報
 10月11日(金)午後5時頃、市内駒場、国道257号線青木交差点から山手交差点へ向かう路上において、下校中の児童に後方から不審者が乗る車が近づき、助手席側の窓ガラスを開け「乗ってけよ」と声をかける事案が発生しました。
【不審者の特徴】 男、40歳くらい、中肉、長めの黒髪、黒色半袖Tシャツ、マスク、サングラス着用
〇危険を感じたら大声で助けを求めたり、防犯ブザーを活用してください。〇下校時間帯の見守り活動にご協力をお願いします。中津川警察署(0573-66-0110)

市民安全情報ネットワーク
http://bnnet.jp/
***********************************************************************
 実は、この種の不審者情報が、毎月、十数件も届くことがある。
 なかには、「車のなかから通学児童を見つめていた」……だけ、という情報あった。
 おいおい、これじゃ、成人男性は全員が不審者じゃないか? 子供が楽しそうに会話しているのを見て、「幸せな光景だな」と思ったら、通報されて不審者にされているわけだ。

 実は、市内の小中学校も、格段に警備が厳しくなって、校庭に足を踏み入れるだけで、「住居不法侵入」で逮捕されるシステムが常態化しているのである。
 また、子供がケガでもして、助けようとしたら、その行為自体が痴漢や誘拐未遂のような犯罪予備にされてしまいかねない。
 だから、通学中の子供を見ることさえ許されないのである。ここまで、人が信用できないのか? と私は憤るしかない。

 なるほど、これでは、子供たちが出会う大人たちを、すべて不審者のように思い込んで、挨拶もしなくなるわけだ。
 まるで、「一億総不審者時代」が、やってきたかのようだ。

 大人を不審者扱いする前に、社会全体が、すべて犯罪者であるかのような異様な風潮に問題があると、誰も思わないのだろうか?

 ここで、今日のニュースを紹介しよう。

 【父親のモヤモヤ】「今日はお休みですか?」父子だと警戒される男性の育児 「イクメン」が可視化する社会

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191019-00010000-withnews-soci&p=3

 以下引用

 子どもと2人きりでいるのは、不審なのでしょうか? そんな声を、育児中の父親から時折聞きます。男性が育児をする姿はめずらしくなくなりましたが、それが平日の昼間だと「なぜ?」という目で見られたり、「お母さんは?」と尋ねられたり。女性ならば不審がられないのに、なぜ男性だと違うのか? そこには、「育児の中心は女性」という考え方がまだ根強い、社会のありようが映し出されているのかもしれません。

【マンガ】「イクメン」がいなくなった未来、会社はこう変われる… 幼い頃見た、両親のかっこよさ

10月19日は「イクメンの日」。「イクメン」という言葉は、育児する男性をことさらに特別扱いする言葉、との指摘もあります。男性の育児に注がれる視線について、考えてみました。(朝日新聞記者・武田耕太、高橋健次郎)

あいさつのように「お休みですか?」
「きょうは、お休みですか?」

中部地方に住む公務員の30代男性は、今年の春まで1年間、長男(3)の育休を取りました。子どもを連れて、遊び場へ連れて行くと、別の母親から度々、あいさつのように声かけが。「不審な人物でないか、相手が警戒しているのが伝わってきました」

妻と共働き。キャリア形成を後押ししたいという思いもありました。同時に、出産時は単身赴任していたので、子どもが幼い時から関わりたいとも思って育休を取得しました。

【父親のモヤモヤ】「今日はお休みですか?」父子だと警戒される男性の育児 「イクメン」が可視化する社会
「今日は、お休みですか?」とよく声をかけられたという男性からのメール。相手の警戒感がうかがえたという
「子育ては母親」に直面
育休取得時から、「子育ては母親の役割」という性別役割の意識に直面しました。

2年に及ぶ単身赴任の後、中部地方に。育休取得を申し出ると、「本当に、育休取るの?」「奥さんは、もっと休めないの?」。何度、聞かれたか。強く申し出て、なんとか1年間の育休を取得しました。

育休明け、子どもの発熱で会社を休むこともあります。そんな時は、常に先回りして「言い訳」してしまう。「妻がどうしても対応できないので」が枕詞です。

男性上司の妻は、多くが専業主婦。仕事が終わらなければ、残業や休日出勤をすればいい。飲み会で家を空けることは苦にならない――。そんなスタンスで接してきます。一方の男性は、常に帰宅時間を気にし、休日のすべてを家庭のために充てる。どうしても溝を感じてしまいます。

「『子育ては妻の役割』。そんな意識を言葉の端々に感じます。『育休は妻が取るもの』。『男は24時間を仕事に充てられる環境が当たり前』。そういう感覚の違いに、モヤモヤします」

 娘と新幹線、「誘拐犯」と通報された
ミュージシャンで漫画家の劔樹人さん(40)は今年8月、新幹線の車内で、泣きやまない長女(2)をデッキに移動してあやしていたところ、停車駅で乗り込んできた警察官から事情を聴かれました。当時、長女と2人きりで、妻でエッセイストの犬山紙子さん(37)は不在でした。

「誘拐事件の可能性と通報があったので」。警察官が無線で「男性と女の子が1人。母親はいません」とやりとりしているのを見て、「男性と女の子だから怪しまれたんだな」と劔さんは思ったそうです。

結局、身分証明書としての保険証を示し、犬山さんと電話で連絡をとり、やっと「疑い」は晴れました。

SNSで大きな反響
一連のやりとりをSNSで発信したところ、大きな反響が起きました。

「慣れないことをするからだ」「ふだん育児をしていない父親がするから、そうなるんだ」。そんな「的外れな批判」を劔さんは浴びたといいます。

劔さんはふだんから父子で過ごすことは珍しくなく、2人きりでの新幹線移動にも慣れていました。慣れていようがいまいが、2歳半は「イヤイヤ期」の真っ最中。ちょっとしたことで泣きわめき、親の言うことを聞いてくれないことは、子育てをした親の多くにとって、身に覚えのあることでしょう。

一方、犬山さんのもとには「父子で行動するときは疑われないように、なるべく子どもとおそろいの服を着るようにしている」という男性からの声も届いたそうです。

「性別関係なく育児」の環境を
犬山さんは一連のできごとを踏まえ、「男性が育児をするなかでそういうプレッシャーがかかっているんだな、ということは胸に刻んでおきたい」とnoteに書きました。

いま、犬山さんはこう振り返ります。

「そこには男性と子どものセットで新幹線に乗っているという珍しさもあったのでしょう。これが男性と女性、半々ぐらいの割合で子どもと2人で新幹線を利用する世の中だったら違っただろうと思います。今回のできごとを振り返ると、結局、育児は性別に関係なく参加していくべきだし、そのための環境も整えていくべきだし、というところに落ちつきます」

劔さんも「育児をするのはやっぱり母親がいいんだろう、という意見はまだ強い。でも、そんなことはないはず。ふだんから育児する父親が増えていけば、世の中の空気も変わると思います」と話します。

そして、2人は「通報そのものは必要」と強調します。SNSで発信するときも、そこの誤解を受けないように気を配ったそうです。「子どもの安全のためにも、怪しいと感じることがあれば通報してほしい」。それが2人の思いです。

 「イクメン」という言葉
2010年、「イクメン」という言葉が「新語・流行語大賞」のトップ10入りを果たしました。

今年8月、「僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う」(自由国民社)を出した、働き方評論家の常見陽平さん(45)は「イクメンという言葉があること自体、男性が育児をするのがふつうじゃないということを可視化している」と指摘します。

常見さんは2年前、長女を授かり、フルタイム勤務の妻と夫婦2人で子育て中です。ほぼすべての食事は常見さんが担うなど、平日も1日平均6時間は家事育児に費やしているそうです。

育児する男性の姿があたりまえになり、日常の風景になじんだとき、冒頭の男性が感じた「不審な目」や、劔さんが体験したようなできごともなくなっていくのかもしれません。そして、そのときには「イクメン」という言葉も消えるのかもしれない、と思います。

 **********************************************************************

 引用以上

 人間というのは、信頼されれば、それに応えようとするものだ。ところが、最初からいきなり不審者扱いされたなら、「この野郎」という不快感・不満のはけ口に、「ならば本当の不審者になったろかい」という選択肢が生まれても不思議ではない。

 今の自民党、新自由主義のなかで、なぜ、このように、ほぼすべての国民が、潜在的犯罪者のように扱われるようになったかといえば、それは、少数の特権階級が登場してきて、彼らが、自分の権利や財産を侵されることへの強烈な恐怖心を抱くようになったからであり、それを予防する措置として、セキュリティの強化を求め、あらゆる人々を最初から不審者に仕立て上げてしまったのだ。

 まさに、盗まれるもの、犯されるもの、破壊されるものを必死に守ろうとする大金持ち、特権階級が、このような一億総不審者時代を生み出したといえると私は思う。

 私たちは、失うもののない生活のなかで、人を最初から犯罪者扱いするような社会を拒否し、人間に対する信頼を前提にして機能する社会を、もう一度作り直さねばならないのではないか?

Appendix

プロフィール

tokaiama

Author:tokaiama
ツイッターのアカウントは、原発運転による健康被害をとりあげた途端に永久凍結されました

最新記事

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
その他
2位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
2位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

アクセスカウンター

アクセス数