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海外で大きな支持を集めている日本の自然農法

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 自然農法といえば福岡正信の、無耕起・無農薬・無肥料・無除草栽培法だ。私も30年以上前に、これを知って、なんと真似してみたいと思い、中津川市移住後に、いろいろ試行錯誤してみたが、すべて失敗した。

 福岡正信とは?
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E6%AD%A3%E4%BF%A1

 https://www.youtube.com/watch?v=aBtaRJvvsK0&ab_channel=JE55IC44

 仙人のような風貌の福岡さんだが、その理論は精緻である。
 私は無耕起・無肥料・無農薬・無除草なら、ずいぶん楽ができると甘い考えで期待したのだが、福岡さん自身は、「惰情な百姓が循環農法をやれるほど自然は甘くない」と軽薄な動機の私を一蹴するような言葉を残している。
 「何にもしないのが最高の農法」というのは額面通り受け取らない方がいい。

 私が「福岡式農法」に失敗した理由は、家庭菜園の意欲を踏み潰されるような凄まじい虫害と雑草繁茂だった。
 一応5月くらいまでは、なんとか畑の体裁を保っているのだが、6月中旬にもなれば、一日30センチも延びる雑草除去作業についてゆけず、しかも、その雑草に、テントウムシダマシやカメムシなどが大量について、もう農作業の意欲を押しつぶされてしまうのだ。

 「無除草だって!」
 間質肺炎で、少し動いただけで息切れする私は、そこだけ都合良く福岡式を切り取って、楽ちんを期待したのだが、そんな甘いものではなかった。
 そもそも、雑草を抑制する生物マルチや、テントウムシダマシやカメムシ・ヨトウムシなどの天敵である地蜘蛛やらシオヤアブの十分な生態系があることが無除草・無農薬の前提だったのだ。
 無除草というより「生物マルチ除草法」と言い換えた方がいい。

 自然農法を実現しているほとんどの人が、農薬を使わない代わりに、天敵生物の環境をもの凄く大切にしている。
 例えば、害虫最大の天敵である地蜘蛛が生息しやすいように、畑の周囲を茶のような細かい葉で覆われた灌木で囲む。その天敵たちが農薬の代わりだった。

 そして、コンパニオンプランツという、害虫を寄せ付けないバジルやマリーゴールドのような生物農薬を交互に植えてゆく。
 このような総合的努力を重ねているうちに、だんだん害虫を近づけない農地に変わってゆくのだ。「無農薬」というのも額面通り受け取らない方がいい。

 「無除草・無農薬」という言葉だけに憧れてもダメだ。雑草が生えてこないように、枯草や藁などの生物マルチを施し、農薬の代わりになる生態を確保することで、はじめて無除草・無農薬が成立する。

 私は福岡式農法を、勝手に「惰情型放置農法」と解釈したのだが、実態はとんでもなく精緻に計算され尽くした数学的農業だったのだ。
 それに、福岡式農法が成立するためには、一切農薬を使わず、地下1mまで自然生態系が成立し、フカフカになった素晴らしい農地が前提になり、そこでは自然の炭素循環が成立していて、あらゆる要素に緊密なバランスが保たれている。

 福岡式農業をやるには、前提になるフカフカ炭素循環農地を作るだけで最低5年以上かかる。手がかからないで放置可能なのは10年以上、成功を続けてからのことだ。
 無農薬で、あらゆる生態系のバランスが成立した農地を作るだけで、私なら、たぶん数十年はかかってしまうだろう。

 そこで、私は福岡式を諦め、耕運機を使い、堆肥をぶちこんで高畝式畑で馬鈴薯・大根・ネギなどを育てているのだが、まともな畑の機能は5月末までで、6月に入れば、もの凄い勢いで雑草に覆われるようになり、害虫の激増とともに夏までに畑を放棄するというのが、いつものパターンになってしまっていた。

 実は、福岡式が代表する「自然農法」を実践してきたのは、福岡さんだけではない。青森の木村リンゴさんや、遠く、ブラジルの日系農業社会でも試行錯誤が続けられてきた。
 今から20年以上前だが、私は、当時長浜市に住まわれていたブラジル帰りのSさんから、サンパウロ式自然農法について話を伺ったことがある。

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-233.html

 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-188.html

 詳しくは上のリンクに書いたが、自然農法を始める農地には、最初に5mおきに50センチ四方の長い溝を掘る。これは、土壌の通気性を劇的に改善して、土壌の支配的バクテリアをメタン菌のような嫌気から光合成菌・放線菌のような好気に変えてゆく。
 畝は1mおきで30センチの高畝とする。

 種付けは原則苗植えとし、このとき厚い枯葉や籾殻・藁などの生物マルチを施す。肥料はやらないが、焼却灰や酵素剤として、みかんの皮や木の実類などを表土に与える。
 これは土壌の表層菌に乳酸菌などの要素を加えるためだ。

 この方式は、Sさんが農業指導に出かけた東ティモールなどで、マンゴーのような果樹を栽培し、大成功を収めたが、成果は土地の武装匪賊がさらっていったという。
 この自然農法は、サンパウロ郊外で、ポルトガル系奴隷農園主などに弾圧されながら半世紀をかけて確立したものだという。Sさんは、弾圧と拷問により左足が不自由になっていた。

 大きな溝を掘ることで、水分の凝集と嫌気性菌を減らし、ミミズや土壌菌類が土壌の硬直を解放することでフカフカの土に変わってゆく。最初、溝を掘ってから、フカフカ土壌になるまで5年かかると言われた。
 もちろん溝以外に耕起はせず、農薬も撒かず、除草もしない、肥料も与えない。

 あとは、本質的に福岡式農法とほとんど変わるところはない。
 福岡式が、本当に独自性を持っているのは「粘土団子」という方式である。
https://www.youtube.com/watch?v=lW8hA_eYsLM&ab_channel=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B7%8F%E5%90%88%E5%9C%92%E8%8A%B8

泥のなかに数十種類の種を入れる。これを径3センチほどに丸めて粘土団子を作る。
 これを緑化を目的とする荒廃した土地に散布するだけで、自然に土地が種を選択して発芽し、荒地を豊かな緑野に変えてゆく。
 これは、アフリカの砂漠などで、すでに40年以上前から日本人によって研究が行われ、大きな成果を上げている。

 アフガニスタン・ガンベリ砂漠における中村哲の用水路による緑化農地事業が有名だが、こちらは、用水路さえ必要とせず、植物の根の下に、フカフカの空洞になった水路が成立し、荒野全体を緑化してゆくのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=oTs2G6iQsLg&ab_channel=greentvjapan

 福岡さんが、自分の農地で稲や麦を作るときは、やはり泥団子に、この種籾を数粒ずつ入れる。稲の刈り取り前に、麦の入った泥団子を散布しておく、刈り取りは稲穂だけで、藁は、長いまま田に返しておく。
 麦を刈る前に、米の入った泥団子を散布しておき、麦わらを放置する。藁は生物マルチの役割だ。この交互二毛作が福岡式自然農法の原点である。
 https://www.youtube.com/watch?v=1JII-YXn16E&ab_channel=YagiSumu

 砂漠における泥団子は、降水量の少ない乾燥地でも、朝方は夜露が降りるので、数十種の種が入った泥団子が、夜露を被って、水が地面との接点に集中し、そこから団子の種が発芽することになる。
 このとき、土地や気象に適した種類だけが発芽し、他は淘汰される。いわば、その土地に向いた種だけが育つことができる。

 このような福岡式から派生した、日本NGOによる外国の荒野緑化事業は、諸外国から高く評価されている。外国には粘土団子方式のような優れた適応緑化の思想がなかったので、闇雲に多量の水を投入しても管理が長続きしなかった。

 こうした福岡式農法の神髄は、自然観察力である。自分の目と足を使って長い年月をかけて自然を観察し、試行錯誤を繰り返して、もっとも適した方法を探した結果なのだ。
 学問界の農業理論など、あまり役に立たなかった。粘土団子方式など地位目当ての研究者の視野では無理だ。金になること、金をかけること、評判を取れることしか考えられないからだ。

 外国で日本人による砂漠緑化に成功したとき、共通する問題は、少しばかり植物が育つと、近隣の住民が押し寄せてきて、手当たり次第に刈り取ってしまうことだという。
 森を作るためには、武装した軍隊で森を守らなければならないことになる。
 だから、本当の問題は、住民の意識改革であり、身近な自然のなかで小さな循環原理を成功させ、感動させることで、大きな自然の循環を作るには、何をしなければならないか考えさせなければならない。

 中国における日本人による砂漠緑化は、大成功を収めているのだが、その成果を中国共産党が横取りしたくて、緑化の中核となっていた日本人たちを追放しているのだという。
 長浜のSさんたちによる東ティモールの農業指導も、同じように現地の軍閥によって横取りされ追放された。
 中村哲さんによる、用水路農業事業も、現地の軍閥に成果を狙われていて、中村さんは殺されてしまった。

 ところが、粘土団子式砂漠緑化は、50年という長い時間が必要だが、現地の環境に適した植生と生態系を利用することで、知らぬ間に地面の下にフカフカの土と水路を作り出してゆくので、もっとも自然な、生態系回復が行われるのだという。
 自然農法は、長い長い時間がかかるが、得られる成果は、とてつもなく大きい。

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