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死と向き合う

カテゴリ : 未分類

 私は、若い頃から「死」について考えてきた。
 私は集団行動が苦手なので、どんな危険な登山でも一人で行動した。
 若い頃は、沢登り、単独クライミングに凝っていて、アルプスの沢登りに向かえば、必ず大きな滝をたくさん越えてゆかねばならない。このとき、いつでも死のリスクと向き合わねばならなかったからだ。

 ザイルは一応持っているのだが、よほど危険な場所でなければ、時間的な問題で、高度差十数メートル程度なら確保なしで登ってしまうことが多い。
 ザイルを出して、ハーケンを打ちながら確保用具をセットし、登ってから回収して、再び歩き出すまでに、あまりにも多くの時間を浪費してしまうので、「確保しなければ転落する」と確信できるとき以外は、まずフリーソロでやっつけてしまう。
 一人だから、確保にあたって、二人の場合の三倍以上の時間を必要とするからだ。

 だが、一度だけ、そんな滝登りに失敗して10メートル近くを転落したことがある。中央アルプスの2級程度の沢だった。
 河原に叩きつけられてから、しばらく動けなくなった。単独だから救助者はいない。一番近い人家まで徒歩で半日以上はかかるだろう。
 やがて、少しだけ体が動かせて状況を確認してみると、手の甲や肋骨など、4箇所程度が折れていたようだ。

 それでも激痛を我慢しながら、登攀を諦めて退避した。半日かけてヨタヨタとバス停にたどり着き、来たバスに乗り込んだ。
 乗客は、私を見て、みんな硬直してしまった。打撲で、もの凄い人相をしていたからだ。
 だが、ボコボコにされた姿でも、名古屋に帰り着くことができた。翌日、私のアパートに尋ねてきた母親が私を見て「あなた誰!」と叫んだ。

 あまりの人相の変貌で、母親ですら、自分の息子を認識できなかったのだ。
病院に行って、失敗を咎められるのが嫌で、かなりの期間、会社も休んで、自宅で療養を続けた。骨折した場所は、やがて偽関節になってしまった。
 いびつに曲がった自分の骨を見て、私は一罰百戒の教訓を得たわけだ。

 治ったら、再び、沢登りを復活させたが、このときの教訓から、フリークライミングの技術を磨くために、ゲレンデに通って5級程度のフリーソロを安全に登れる程度の実力を身につけることにした。おかげで、とりあえず10Aを安全に登れる自信ができた。
 沢登りやヒマラヤ登山程度なら、この程度で十分なのだ。以来、事故はない。

 こうした経験のなかで、私は「死の危険」に満ちた登山の場合は、「普段から訓練している自分が失敗するはずがない」と、強烈な確信=自信を持って、現場では、ネガティブな予想をせずに、ポジティブな成功への信念だけで登れば安全が確保できると信ずるようになった。

 こうした「死と紙一重」の体験で、心の持ち方の教訓を得た私は、それ以来、タクシーの運転中に、後ろの乗客にナイフを突きつけられても、食堂で向かいの客が「殺すぞ!」と恫喝しても、ヤクザに威圧されても、ウソのように動じることがなくなった。
 どんな危険が目の前に迫っても、平然としていられるのだ。
 もちろん、それまでの登山で、いきなり大熊やイノシシと鉢合わせになったり、クライミング進退窮まったりという経験をたくさん積んでいたことも大きい。

 ピンチに際して「慌てない、動じない」という姿勢は、相手が人間だった場合、ずいぶん薄気味悪く思うらしく、ヤクザに脅されていても、平然としているので、逆に、相手が勢いを失ってしまうのだ。
 また、岩場で進退が極まっても、屁のカッパのように力を抜いて冷静にしていれば、すぐに脱出経路が見えてくる。
 体が恐怖で硬直しないので、行動に大きな余裕が生まれているのだ。

 今の中津川市に移住してから、ネット上の発言について、ずいぶんたくさん脅迫を受けた。ほとんどの場合、単なるはったりにすぎないから、「アホか!」と聞き流していたが、一度だけ、「これは本気で襲われるかも」と心配したことがある。
 後に、相手が現職の自衛官だったことがわかり、彼の所属する各務原部隊は、民主党政権に対しクーデターを計画していたほどの自衛隊内極右暴力集団だったのだ。
 このときは、監視カメラをセットして、殺されても証拠だけは残そうと考えた。

 今、私を誹謗中傷している連中は、臆病者の口先右翼しかいないので、全然心配していない。素性の悪い駄犬が吠えているだけだ。
 先に書いたように、私は、自分の意見表明が理由で殺されることになっっても、名誉なことだと考えているし、もし襲撃があったなら、命と引き換えでもタダで返すつもりなどない。

 しかし、7年前に、再び、死と真正面から向き合わねばならないことになった。
 あることが原因で、間質性肺炎になってしまったのだ。
 最初は、単なる喘息だと思っていたら、呼吸音にブツブツバリバリという奇妙な音が聞こえるようになり、日常の小さな所作で激しく息切れするようになった。

 ネットで調べて見ると、間質性肺炎IPF(繊維化)の症状そのものであり、発症後の平均余命は5~6年と書かれていたから慌てた。
 おまけに、山に行っても、それまで登れた時間が、どんどん長くなってゆく。
 おまけに、近所に住んでいるAという、絵に描いたような嫌がらせマニアの老人が、車をパンクさせたり、木ネジを道路に撒いたり、呼吸を悪化させる煤煙を出したりと、とんでもない悪さを繰り返すので、症状が悪化してしまった。
 このときは怒り心頭で、Aにガソリンをぶっかけて火をつけてやろうと本気で思ったが、辛うじて良心が押しとどめた。

 すでに私の死期は過ぎているので、生きているのが不思議だが、毎日欠かさない早朝の呼吸トレーニングが効いているのだろうと思ってる。
 今日、この文章を書いている本題は、「自分が病気でジワジワと死んでゆく」という現実を直視させられたとき、自分が、どのような反応を起こしたかである。

 この病気は、本当にジワジワと呼吸機能が悪化してゆき、空咳が出て、息切れがひどいので、何か、長い時間をかけた拷問に遭っているようだ。
 やがて、酸素供給をしなければ、日常生活も不自由になってしまい、インフルエンザなどに罹患すると、急性増悪という病態になって急死するパターンだ。

 ネットでIPFを確認し、自分の死亡宣告を受けたように感じてから、「死生観を悟って、度胸が据わっているはずの」私は、うろたえた。
 「死に対して覚悟ができていた」はずの私が、この先、どうやって生きてゆけるのか、絶望的な気分になった。
 そうして、いつのまにか、私が私でない別の人格に離脱していることに、ある日、気づいた。

 「病気で死を宣告されているのは、私ではない別の人間だ」と、いつのまにか思い込んでいる私がいた。
 そうして、別の人間、人格として生きようとしている自分を見ることになった。それは、傍から見たら、とんでもなく滑稽で、異常者としか思われない人格だ。
 人間というのは、追い詰められると、本来の自分以外の何者かに変身したがるのだと、私は、はじめて気づいた。

 ちょうど、今、黒川弘務検察官問題で、国会で、追い詰められて珍奇な答弁している森まさこ法相が、なんだが私に似てるなと思うようになった。
 いわき市出身の彼女は、目がぱっちり、ぽっちゃり型で、おそらくアイヌの血を引く、縄文人タイプである。
 人相学を学んだ人なら、この種の、大きなお目目、とぽっちゃり女性は、おしなべて感受性が強く、逆境への耐性が弱いことが分かるはずだ。
 私も、どちらかといえば、アイヌの血を引いていると思われる形質がたくさんある。

 この種の、縄文人型、高感受性女性は、圧力に弱く、迎合しやすい傾向がある。彼女は、本来、法相など担えるような器ではないのだが、たぶん、負けん気が強くて、自分の精神的な弱さを弁護士と議員とかの「権威の威力」でカバーしようとしたのだろう。
 だが、どんなに権威をまとってみても、心の弱さが克服できるわけではない。

 だから、国会で正論によって追い詰められると、心のプライドの行き場を失って、右往左往したあげく、とうとう精神離脱して自分を見失ってしまうのだ。
 同じように、縄文人の血を引く私も、死と直面させられて、なんとか逃げたくて仕方なく、心の離脱が起きてしまった。

 「心優しい」という形質は、言い換えれば「離脱しやすい」ということになる。
 私は、アイヌのユーカラなど、民俗学的資料を調べていて、「アイヌ人が冷静さを失って我を見失いやすい」という事実に気づいていた。
 みんな争いごとが嫌で仕方ない。他人の不幸を見たくない、心の優しい人ばかりだ。
 アイヌには、詐欺師や泥棒は非常に少ないが、感情に左右されて衝動的に罪を犯す人は少なくない。

 こういうタイプの人々が、自分たちの滅亡や、死を覚悟させられたとき、「心の離脱」が起きやすくなる。
 今、私は、自分の人格が幾重にも離脱分裂して、死を直視せずにすむ時間を得たいと思っている。
 もし、私が、本当に自らの死に向き合うとすれば、これまで私に嫌がらせしてきた連中を、襲いに行くことになってしまうだろう。
 なるべく、そうせずにすむように、しばらく離脱したままにしておきたい。 

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