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2009年7月8日 ● ダム問題 その2

カテゴリ : 無題


 ダム問題 その2

 とにかく日本の役人は箱物を作るのが大好きだ。
 それは儒教思想国の古くからの慣習として、箱物建設に多数の業者が関与することで役人に対する賄賂や接待が、必ず行われるからである。日本も韓国・中国ほどではないが、業者による役人利権の巨大な国家である。
 それは建設規模に比例し、わけてもダム工事は、予算規模の大きさ、工事期間の長さからいって筆頭に位置するものであり、役人たちにとっては垂涎の利権といえよう。こうした美味しすぎる利権を役人たちが手放すはずがない。

 こうした箱物利権体質は儒教思想と深く結びついていることに注目する必要がある。欧米など、儒教が存在せず、役人利権を抑制する習慣のある国家で、こうした問題は起きにくく、不要無用な箱物を作るなら厳しい監視と批判に晒されるのである。
 欧米の政治家・役人は基本的にボランティア思想に基づいて行われており、地方議会は無給で運営される国家も少なくない。政治家の給与も極めて少なく、アメリカ大統領ですら、日本の自治体首長にも劣る給与である事実を知っておくべきだ。

 こうした背景の元で、国土交通省をはじめ、全国のダム工事利権にかかわる官庁は、すべて推進・建設一色に染まってきた。例外は、自分の所属する自治体がダムの底に沈む建設予定地の官庁だけであった。

 推進側の根拠として挙げられてきた水利需要の多くは、欺瞞の数値ばかりで捏造に満ちている。 ほとんどのダム計画で、水需要予測が、文字通り大幅に水増しされており、役人の勝手に想像しただけの数値予測が並んでいる。

 ここで山本寛著 「多目的ダムはなぜつくられるのか」 工学社(1600円)
 から、遠州「太田川ダム」に関する問題を一例としてとりあげよう。
 これは全国のダム問題、ほとんどすべてに共通する例であり、役人たちの箱物利権汚染がどれほど深刻であるかを示す指標ともいえよう。

 遠州は静岡西部地域で、静岡といえば自民党の票田、産業界のいいなりになる極めて保守的な地域であるが、その役人たちも、巨大な産業利権に迎合するのみで、名もなき、財産もない人々の幸せな未来を構築しようとする良心的な者はほとんどいないのが実情である。

 遠州の水需要予測は、静岡県企業局によって1993年に大綱が示された。これによれば、すでにバブル崩壊が目に見えていた深刻な時期であったにもかかわらず、先例に倣って未来永劫に水需要が右肩上がりに伸び続けるとの予測を前提に書かれている役人らしい愚かな作文だ。
 遠州という日本最大の南アルプス山脈を背後に控えた指折りの素晴らしい水資源に恵まれた地域であるにもかかわらず、2003年には水供給能力が逼迫し、太田川ダムを建設しないかぎり、浜松~掛川に至る広範囲の市町村で水不足が深刻化するという御宣託が書かれている。

 太田川ダム利水計画は2002年度から運用開始予定であった。しかし利権衝突により建設が遅れ、その間にバブル崩壊などによる産業需要減退によって、浜松市など多くの自治体が水利権の返上を申し出ていた。
 静岡県企業局の予測に対し、現実は2割以上も少ない実需実績であったが、それらを一切無視して、企業局は水需要予測を水増しし続け、強引に太田川ダム計画を実現していった。

 このとき注目すべきは、あらゆる実需グラフが太田川ダムの必然性、建設理由を否定するものであったのに、県企業局は、なんとしても建設するために、不足要因を強引にでっちあげた。
 それは、例えば、全国指折りの豊富な南アルプス伏流水、地下水資源に恵まれた遠州の井戸の劣化を新たな理由にしたことだった。井戸の揚水能力が40間年で7割に減衰すると勝手に決めつけられ、さらに、地下水・流水取水施設が老朽化により、20年後にはほとんど使い物にならなくなると決めつけ、太田川ダム受水理由にでっちあげられたのである。

 一番問題なのは、遠州地域が世界最高クラスの良質な地下水資源宝庫であることから全国最大級の地下水利用率41%を誇っている状況に対し、これを逆評価し、全国平均値24%の倍近いものであり、このことが遠州水資源の弱点と決めつけたことである。
 つまり地下水利用率が高いことは、遠州が遅れた未開地域であり、水利用の後進性を示すマイナス要因と決めつけたわけだが、事実はとんでもないウソもいいとこで、東京・大阪市街地の地下水ならいざしらず、遠州地下水の水質は世界最高峰であり、西条市の打ち抜き水に匹敵する非の打ち所のない素晴らしい水の宝庫なのである。

 しかも、広大な南アルプスの3000mの水頭圧に支えられて、遠州・駿河地域の地下水資源には、どれほど汲み出しても枯渇がありえない。だからこそ、有数の製紙産業が発達したのである。素晴らしい地下水を利用できる地域住民は、世界でもっとも優れた水資源に恵まれた人々である。静岡の健康は地下水によって支えられているのだ。
 こうした地下水利用を県企業局は真っ向から否定し、生活排水が流れ込み、汚染された太田川中流域のダム水を「浄化」して、遠州住民に強要しようというのだ。

 遠州の水道水は、駿河地域に比べて「マズイ」と評価されている。
 この理由は、行政が地下水資源を軽視し、高価で水質の悪いダム水源に依存する傾向があるからであり、すなわち、行政がダムを推進する箱物主義の結果、遠州住民は劣悪なダム水を無理矢理飲まされているのだ。
 しかも巨額のダム建設費の償却のため、地下水に依存する駿河住民と比べて、遠州住民の水道料金は21%も高いのだ。(2007年太田川ダム水価決定に伴い値下げされた)
 浜松市をはじめ、遠州は天竜川の豊富な伏流水に恵まれており、巨額経費のかかるダムなどに依存せずに、安価で素晴らしい地下水を利用していたなら、地球上でもっとも素晴らしい美味しい水を飲むことができていたはずだが、役人たちが、なんとしてもダム建設を推進したいがために、無理矢理、汚染されたダムの水を飲まされ続けてきたのが実情なのである。

 庶民は、大昔から井戸水を利用し、素晴らしい水を無料で使用してきたわけだが、これが、どうして高くてマズイ水道水利用に変わっていったのか?
 この経過を知ることは、現在のダム建設や水道行政の欺瞞の正体に迫るものである。

 これには行政側の卑劣な謀略が含まれている。都会の自然環境が悪化し、工場が廃液を水源に垂れ流し、水質が劣化し始めたのは1930年代ともいわれるが、それがピークを迎えたのは1960年代であった。
 さらに1950年代からは、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」で告発された、無差別農薬空中散布があり、これが全国の水源を凄まじく汚染し、それを飲料水として利用していた多くの住民に猛烈な健康障害を与え、莫大な人々を殺戮したのである。
 この事実は、未だに事業主体であった厚生省→厚労省によって意図的に隠蔽されている。
 しかし、我々の子供時代、見てきた老人たちの姿を決して忘れることができない。
 1950~1970年代、DDTの空中散布が全国で頻繁に行われていた時代、民衆は60歳代になれば腰が曲がり、ヨボヨボになって、ほとんどの人が「尿毒症」で死亡していったのだ。当時の60歳代といえば、今の90歳代くらいの感じであった。

 いったい、どうして、あれほど「尿毒症」で死んだのか?
 日本人の死亡原因の一位に居座っていた「尿毒症」その多くは「老衰」と決めつけられ、誤魔化されていたが、尿毒症の正体は腎臓障害であり、これこそDDT摂取の代表的な症状だったのである。
 つまり1950年代以降、20年以上、日本人はDDTによって腎臓を痛めつけられ、これによって尿毒症で殺され、「化学物質過敏症」に罹患して地獄を経験した人々が数百万人以上に上るという事実を知っておかねばならない。

 実は、この事実を行政側は早くから理解していた。日本で爆発的にダム建設が進んだ1960年代には、行政は、水道水源を安全な山奥のダムに求めるという方針を、ダム建設推進の基本に据えていたのだ。
 そして厚生省・農林省による化学農法の推進を行い、底なしに田畑に農薬をぶち込む農業を強要してゆけば、当然、水源の深刻な汚染が避けられないわけで、化学農法とダム水源水道は政府によるマッチポンプ式水資源管理の両輪だったのである。

 実は、化学農法の推進にも裏話がある。1950年代の朝鮮戦争、1970年前後のベトナム戦争に、膨大な量の火薬が使われた。
 これらの火薬は戦争終結とともに用無しになったが、一方で莫大な在庫が残ることになった。これを、どのように効率的に始末するのかが米軍、アメリカ政府の焦眉の課題であった。
 そこで目を付けたのが、火薬と化成肥料・農薬が同じものという事実であり、廃棄火薬や余剰原料が、ほとんど、そのまま化成農業資材に転用されたのである。
 例えば、ピクリン酸は燻蒸殺虫剤になり、枯葉剤は除草剤になり、硝酸カリ火薬は、そのまま化成肥料になった。
 このため、当時、アメリカの属国、植民地ともいえた日本に対し、旧来の自然農法から、化学農法への転換を指示し、無理矢理、化学農業資材を押しつけた経緯がある。
 こうした資材を扱っていたのが、ロックフェラー・カーギル社の傘下にあったモンサント化成などである。
 彼らの金儲けのために、日本の大地に農薬が飛行機で降り注ぎ、膨大な人々が尿毒症で殺害されたのである。

 これによって、河川表流水・地下水・井戸水利用をやめさせ、ダム建設による水道水源化を進めなければ、役人自らの命も危うい状況に至り、水道水取水を前提にした多目的ダムの建設が大規模に進められたのが事実なのである。

 追記 もう一度おさらいしよう
 日本でダム建設が激増したのは、1950~1980年の間だ。
 これらのダムは水力よりも水利の多目的ダムであった。なぜ、それを作る必要があったのか?
 それは①戦争を行う米軍から余剰戦争資材を化学農法に振り向けるよう、日本政府に強要があった。
 ② このため日本の農地は化学資材で大規模に汚染され、河川や井戸など上水資源が汚染された
 ③ さらに戦後復興と高度成長路線によって、工場廃液の垂れ流しにより上水が汚染された
 ④ DDTなど強力な農薬の空中散布の結果、あらゆる上水が汚染され、人々が腎臓を破壊され、尿毒症で膨大な死者を出した
 ⑤このため安全な上水資源を確保する必要が焦眉の課題となった
 ⑥ 一番早いのがダムを多目的化し、上水資源として利用することだった
 
 こうした経過を明確に認識できるなら、この逆も理解できよう
 すなわち、安全な地下水資源が確保できるなら、ダムによる上水資源は必要ない。今後、ダムの必要性は存在しないということである。

 以下次回

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