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山の歩き方 その3

カテゴリ : 未分類

 
 数年前に「山の歩き方」を、続編とともに掲載した。
 http://blog.livedoor.jp/hirukawamura/archives/2143495.html

 http://blog.livedoor.jp/hirukawamura/archives/2149175.html

 それから病気で肺機能が衰えたせいで、大きな山には行けなくなったのだが、今でも、毎日1時間以上の山林歩行を欠かさないでいる。
 長い山歩きの経験をブログにしておけば、これから山歩きを始める人に、少しは役に立つかも知れないと考え、その3を書いておきたいと思った。

 若い頃から、ずいぶんたくさんの山を歩いてきたが、この時期(7月8月)は、なんといっても沢登りに夢中になった。
 かつては、鈴鹿や日本アルプスの沢を毎週、全身ずぶ濡れになって登り歩いていた。
 中央アルプスの沢に単独で入って、瀧で滑落して数カ所を骨折しながら這うように逃げ帰ってきたこともある。

 北海道の山、とりわけ日高山地では、登山道が沢道であることが多く、どこに行っても沢登りを強いられる。
 しかし、夏場の沢登りでは、さまざまな危険が待ち受けている。
 どんな危険があるのか? 最大の危険は、滑って岩場で転倒することである。

 沢にはコケがつきもので、足下の岩場がヌルヌルになっている沢も多い。
 このヌルで滑らないようにするには、私が一番一生懸命登ったのは、今から40年くらい前なのだが、1980年代までは、ワラジが主流だった。
 当時の価格は、一双で300円くらいだったと思う。今は700円くらいしてるようだ。
 
yamaaruki1.jpg


 裸足に直にワラジをつけるのは、刺激が強いので、必ず地下足袋を履いてから装着した。農業用厚底足袋なら、そのまま山歩きをすることもできた。
 ワラジの滑り止め効果は非常に高いものだが、縦には強いが横滑りには弱かった。それは見てのとおり、繊維が横に走っているためだ。

 1980年代の半ばあたりから、釣り用のフェルト足袋が開発されて普及した。これはワラジほどの効果はないが、縦横ともに滑り止めになり、藁紐が切れる心配もなく、使いやすかった。
 ワラジが一回限りの使い捨てであるのに対し、フェルト足袋は数十回も使うことができた。だから3000円程度でも十分元はとれる。
 yamaaruki2.jpg
 

 そのうち、長靴フェルト底とか、短靴フェルト底とか、たくさんの種類が開発されて、今でも、滑りやすい沢道で多用されている。
 実は、このフェルト底、アイゼンが必要な凍結坂道でも滑り止めに使えるのだ。もちろんアイゼンほどの効果はないが、滑りにくくなるのは確かだ。
 私は、冬の低山で、アイゼンを持参しなかったときは、靴の上から純毛の靴下を履いて滑り止めに使った。
 これは山歩きの知恵として覚えても損はない。

 なお、長時間歩行を必要とする登山では、必ず複数の履き物を用意する必要がある。
 もちろんゴツイ登山靴を予備に持つのはアホらしいので軽量靴だが、地下足袋やフェルト足袋を予備靴として選択するのも悪くない。
 山では、予期しない靴擦れや、ゴム底の剥離なども珍しくなく、北海道のように沢ルートが多いと、予備靴がないと困ることも多い。

 沢登りの危険としては、滑り事故の次に、滝の直登における滑落事故だが、よくあるのは、いい加減に打ち込まれたハーケンを掴んですっぽ抜けで落下する事故である。
 滝のハーケンは絶対に信用してはいけない。岩場のハーケンのように丁寧には打ち込んでいないからだ。
 滝登りで事故を起こさないようにするためには、訓練によってフリークライミングの技量を上げるしかない。ハーケンが抜けたとき、掴んでる石が落下したとき、次にどうするという次善策を、いつでも考えながら 登らなければならない。

 フリークライミングの訓練をしないまま、危険な沢の直登をするのは自殺行為である。必ず、納得のゆくまで基礎的な岩登り訓練を行ってから沢に向かっていただきたい。
 私自身の滑落事故も、クライミングの技量が未熟なうちにアルプスの沢に入るという無謀行為を行ったせいだった。

 岩場の多い山歩きは非常に多い。有名なところでは、宝剣岳や槍穂高縦走、不帰険だが、日帰りでも秩父では普通だし、御在所や鎌ガ岳でもキレット状の危険地帯がたくさんある。
 ここで事故を起こさないために必要なことは、恐怖心を克服することである。
 高所恐怖症など、恐怖に硬直すると、実力の半分も出せなくなる。だから、自分の潜在力を出し切って岩場を乗り越えるには、まずは「怖くない、自分は絶対に落ちない」と自己暗示をかけ、全身の筋肉をリラックスさせることである。

 クライミングの上手な人は、そうした心のコントロールが上手な人である。「こうすれば絶対に安全」と確信を持てる行動パターンを持っていれば、その範囲から逸脱しない限り、安全は保証されると自分自身で信ずればよいのだ。
 力を抜きなさい、恐怖や緊張から解放されてリラックスしなさい、こういう行動をしていれば危険はないと、信じながら無理をせずに進みなさい。
 乾徳山などの長いハシゴを登るときも、「この手が、しっかりと桟棒を掴んでいれば、絶対に落ちない」と信じていれば、問題なく通過することができる。

 この、失敗すると命に関わるような行動で、恐怖心を克服しながら、自分を信じて前進するという登山の経験は、人生のあらゆる場所で、自分を守ってくれる大切な宝物になるだろう。

 なお、どうしても高所恐怖症を克服できない人が同行メンバーにいる場合、リーダーは安全確保しなければならない。
 通常は7ミリ20mのザイルを持参し、確保者には、テープスリングを八の字にして足を通して簡易ハーネスを作り、腰にもテープを巻き、ザイルに結んで確保する。これで懸垂下降も楽々こなせる。(以下は方法が異なるが簡単なので覚えておきたい) 
https://www.youtube.com/watch?v=WAbCqTInDAo

カラビナ一個あれば、懸垂下降が可能である。
 https://www.youtube.com/watch?v=VunyYaj_H7M


 実は、山でのトラブルで、もっとも多く、重要なのは、岩場事故や熊の襲撃ではなく、虫の襲撃である。
 わけても①ブヨ ②アブ ③蛭 ④マダニ ⑤ドクガ に警戒が必要だ。

 ブヨは、ありふれた虫だが、刺されると被害が大きい点では、一番警戒が必要かもしれない。
 これは昨年、10月18日に、笠置山でブヨに刺されたときのもの。
  http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-514.html

以下は、7月20日に、高峰湖畔でブヨに刺され、4日後の本日、撮影したもの。
 buyo1.jpg


 ブヨの被害は、刺されたときには痛いだけだが、後から激しく現れる。指先を刺されると、筆記具が使えなくなるほど腫れるし、肩まで腫れ上がることもある。
 ムヒアルファのようなステロイド剤しか効果がないが、治癒まで十日以上もかかることがある。

 ブヨが刺しにくるのは、冷涼で湿度の極めて高い日が多い。晴れて28度以上もあるときに刺されることは少ない。気温が25°以下で、雨が降ったりやんだりのときが危ない。
 ブヨは極めて環境汚染に弱く、水質が非常に良い小沢にしか繁殖できない。
 もっぱら露出した肌が狙われるが、上の写真はTシャツの下を刺された。

 ブヨを忌避するには、ハッカ油が良いといわれる。ハッカ油をエタノールで50倍くらいに薄めたものをスプレーに移して、肌に散布しておくのだが、上の写真は、ジーグフリートの木の葉のように、塗り残した、わずかな場所が狙われた。
 ハッカ油は、アブにも高い効果があり、山歩きの前にスプレーしておくと多くの虫害を防除できる。

 ただし、ヤブ蚊にはあまり効果がない。マダニや蛭、ムカデには効果が高い。私の場合、6月から10月まで、山歩きの前には、携帯用スプレーに入れたハッカ油スプレーをたっぷり、全身にかけておく。一回かければ二時間程度は効くが、薄いと1時間もたないこともある。
 腐らないので、400CC瓶を購入しておけば、たっぷり長く使える。
 
yamaaruki3.jpg

 蛭は、奥駿河・遠州・鈴鹿のように極端に繁殖している場所では、行けば必ずやられるほどで、とりわけ雨の日、高湿度の日には警戒が必要だ。
 蛭を伝播するのは鹿なので、鹿が多い山、鹿の食害によりアセビが増えている山では、特にひどい。鹿がいれば蛭がいると思った方がいい。

 市販の蛭避け剤は高価なので、昔からの知恵として、山に入る前に、膝下に灯油をかけたり、塩やクエン酸をかける人もいるが、金属部品が錆びてしまう。
 やはりハッカ油スプレーに強い忌避効果がある。私は一度に100匹近くも貼り付かれたことがあるが、血を吸われた痕の治癒に一ヶ月以上を要した。
 なお、遠州・駿河の山では蛭が木の上から降ってくる。だから首や肩にも散布する必要がある。
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-96.html

  https://yamahack.com/220

 吸われた直後の対策としては、蛭の溶血酵素を洗い流しておくのが良い。
 以下の携帯洗浄機は、お尻用のものだが、私はザックの備品として、さまざまに使っている。
 https://item.rakuten.co.jp/apade/yew350/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_113_0_10001868

 野糞(お花摘み)のとき、本当に清潔で便利だし、これで目を洗浄したり、虫刺されや、蛭害を洗浄するのに極めて有効。圧力が出るので、傷口に吹きかければ蛭毒を洗い流すこともできる。もう手放すことはできない。
 ただし、アブやブヨに刺された場合、ポイズンリムーバのような吸い取り器が必要になる。これも必需品といってよいだろう。
 https://sakidori.co/article/101872

 なお、女性用の密度の高いストッキングは、蛭の口器が入らないといわれる。私もハッカ油スプレーを、ビタビタにかけて愛用している。

 マダニは、わが東濃地方には、とても多く、私は恵那山で噛みつかれた。笠置山の山上休憩所にも出ている。
 https://www.hohto.co.jp/pmpnews/pmp370_2/

 私は家に帰ってから膝下に潜り込んでる黒い物体に気づいたのだが、マダニと知ってウイスキーをたっぷり流して、数分後にピンセットで除去できた。高濃度のアルコールに対して、マダニは食いつく力を失うようだ。
 放置するとライム病などの致死率の高い病気にかかることがあるので、早めにエタノールなどを使って自分で除去すべきだと思う。
 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E5%88%BA%E5%92%AC%E7%97%87/%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%8B%E5%92%AC%E5%82%B7

 ドクガの被害は、南アルプスの黒法師山の帰路で起きた。
 最初は、腕に強い痛みを感じたが、みるみるまだら状に赤く腫れて、治癒に一か月程度もかかった。
 http://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000006/6005/dokuga.pdf

 これはツバキ科につく毒虫で、山の中では、ドクガが体に触れただけでひどい目に遭う。我が家でもチャドクガが出て、原因となるサザンカの木を見つけて、焼き払うまで被害が続いた。
 なお毒素は43度の湯に5分浸かれば解毒されるようだ。炎症を起こしてる部位だけでもいい。

 以上、自分が被害を受けた経験のあるものばかりを並べたが、襲われた経験のないことまで書いておく必要があるものがある。
 それは熊だ。
 中津川市は、中央アルプス恵那山が市街地に隣接していて、熊が頻繁に出没する地域だ。今年に入って、2回、近所の高山大橋の上の雑木林で見かけた。
 また笠置山山頂付近や、高峰山鎮之峠にも出没している痕跡を見つけた。去年は、我が家の裏山に出没していた。恵那神社では、最近、釣り人が襲われて大怪我をしている。

 襲われた経験がないのに申し訳ないが、これだけ熊が増えると、山登りに熊避けは必需品になったと思う。
 私の場合は、ザックにハンドベルを結びつけて、歩きながら自然に鳴るようにしている。
 
 yamaaruki4.jpg


 柄の部分に穴を開けてナイロン紐でザックに垂らしておくと、歩く刺激で自然に鳴っている。なお、ラジオやガラガラ鈴は、効果が乏しく、なるべく高音の鈴が良いそうだ。
 カーマでは山菜キノコ採取用に千円程度で販売されている。

 以前は、カウンターアソールトという熊専用スプレーを携帯していたが、1万円近い高価だし、自然に漏れて、ひどいことになるので使うのをやめた。
 代わりに爆竹をザックに忍ばせていて、糞を見つけると点火できるようにしている。
 また、危ないと感じるとき、ダブルストックを持参し、現れたら突いてやろうと思っている。

 熊は、年間を通じて定まった行動パターンがあり、好物であるタケノコや栗や柿などの果樹園近くに潜んでいることが多い。食物の縄張り意識があると、持ち主が採取したとき、自分の食物を横取りされたと思い込んで怒り狂って襲うことがあるようだ。
 以前、高山の展示民家を訪れたとき、果樹園の持ち主が、そのようにして殺害された話を詳しく聞いた。

 笠置山では、山頂付近のブナ林の実が落ちているときと、木イチゴなどの果物が出ているとき、よく徘徊していて、6月頃が危ない。真っ黒で、未消化物の含まれたベチャ糞が点々と落ちているときなど熊がいると思った方がいい。
 こちらが金属音を立てているときに襲ってくることは滅多にないようだ。
 糞が新しければ、必ず近くにいると思うべきで、すぐに爆竹を鳴らした方がいい。

 イノシシは、最近、あまりにも多すぎて、空気のように存在を忘れてしまうほどだ。
 我が家の周りや散歩先にも大量に生息している。今日も出会ったばかりだ。
 特徴は、ミミズを探すための掘り返しが登山道脇に広く見られることで、掘り返した土の新しさと気配の音で、近くにいることを知る。
 やは鈴が有効だと思う。近所にいれば爆竹を鳴らしておけばよい。

 また気づいたことがあれば、「山の歩き方 その4」を書きたいと思う。

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