FC2ブログ

Entries

MMT理論について

カテゴリ : 未分類

 
 昨日のアエラで、古賀茂明が、山本太郎の主張する経済理論を批判した。
 古賀茂明「山本太郎の『MMT』理論はアベノミクスと本質は同じ」
 https://dot.asahi.com/wa/2019072900063.html?page=1

 山本は、MMT理論を掲げて参院選を戦ったのだが、まだMMT理論そのものの歴史が浅く、理解が十分浸透していないと考え、参考になるサイトを探していたら、現代ビジネスの特集記事に、割合分かりやすい解説があったので転載する。


 MMT(現代貨幣理論)が、日本経済を「大復活」させるかもしれない 7/31週刊現代
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66073

 以下全文引用

 アメリカの次期大統領選で民主党の最有力候補と目されているバーニー・サンダース上院議員は、進歩的な経済政策で若者を中心に支持を拡大したことは記憶に新しい。
 そんなサンダースの経済政策の支柱となっているのがMMT(現代貨幣理論)。いまこの新しい経済政策が世界的な大注目を集めている。

 そんなMMT論者で、サンダースの経済政策顧問を務める経済学者のステファニー・ケルトン氏がこのほど来日。
 経済に対する価値観を180度転換させるこの理論は、「日本経済を救う可能性に満ちている」と語るのだ。

 MT(現代貨幣理論)が問いかけるのは「単純な経済政策論」ではない。MMTは経済に対する見方や価値観の大胆な転換を求める経済理論だ。

 −−たとえば、税金とは何のためにあるのか。

 従来からの常識は「税金=予算の財源」である。しかし、MMTは税金を財源確保のためとは捉えない。そのことを理解するには経済の仕組みを改めて理解し直す必要があるという。

 ケルトンは講演の冒頭、ある物語を語り始めた。経済学者のウォーレン・モスラーから聞いた話で、彼女はそれ以来お金に関して従来とは「異なる概念」を持つようになったという。

 「ウォーレンには2人の子供がいました。そして彼らに対して『家事を手伝いなさい。手伝ったら、報酬として私の名刺をあげよう』と言いました。
 例えば皿洗いをしたら3枚、芝刈りをしたら20枚、といった具合に内容に応じて名刺を渡します。

 しかし、数週間経っても子供たちは手伝いを全くやらなかった。ウォーレンが『どうしたんだ?お金を払うと言っているんだぞ』と言うと、『パパの名刺なんかいらないよ』と返されてしまった。
 そこでウォーレンはあることを思い立ちました。そして、『この美しい庭園のある家に住み続けたいのであれば、月末に名刺30枚を自分に提出せよ』と義務化したんです」

 すると、子供たちはそこから急激に手伝いをするようになった。

 いったい、なぜか。

 ケルトンが続ける。

 「なぜなら名刺を集めないと自分たちが生きていけないことを認識したからです。そこでウォーレンは気づきました。
 『近代的な貨幣制度ってこういうことなんだ』と。
 つまり、もし彼が子供に国家における税金と同じものを強要できるのであれば、この何の価値もない名刺に価値をもたらすことができる。そして、彼らはその名刺を稼ごうと努力するようになるのです。

 もちろん、ウォーレンは名刺を好きなだけ印刷することができる。しかし、子供達が来月も手伝うために名刺を回収すること(=提出を義務づけること)が必要だったんです」

 これこそが「信用貨幣論」。つまり、お金は限られた量が回っているのではなく、信用によって増やせる。そして、その貨幣の信用を担保するものこそが「税金」というわけだ。

 この物語から得られる教訓としてケルトンは、「ウォーレンは名刺を回収する(課税する)前に、まずは名刺(お金)を使わなくてはならない。つまり、課税の前に支出が先に来なくてはならないのです」と語るのだ。

 そのことを政府に置き換えるとどういうことになるのか。ケルトンは続ける。

 「政府は税収の為に税を課し、それで財政支出をするのではないということです。まずは政府が支出することが先です。
 その支出される円を発行できるのは政府です。政府は好きなだけお金を発行でき、財政的に縛られることはありません」

 つまり、国民から集めた税金が執行する予算の「財源」になるわけでは「ない」のである。
 政府は国債を発行することで、事実上の貨幣を発行し、それが財源となる。それでも国民が税金を支払うのは「納税の義務があるから」であり、後述するように「インフレの調整機能を果たすため」である。

 もちろん無条件に国債を発行しまくっていいというわけではない。制約となるのは「インフレ」である。

 ケルトンはこう説明する。

 「政府にとって財政が制約になるわけではない。何が制約になるかというと『インフレ』です。
 インフレは最も注目すべきリスクです。貨幣量は使えるリソースによって供給量が決まります。もし支出が需要を上回ればインフレになる。それはまさに気にするべき正当な制約なのです」

 「インフレをどうやって防ぐか」、というのは同時に「デフレをどう防ぐか」を考えることでもある。つまり、経済とは「インフレもデフレも過度にならないちょうどいい状態を維持させるための調整を行うことである」というのがMMTの柱である。

 ここでケルトンは一つの図を示した。
MMT1.jpg

 「経済」は洗面台のシンクに例えることができる。シンクに溜まっている水が「お金」である。これは水が多くてシンクから溢れている状態だ。

 ケルトンは言う。

 「水が溢れているのは、インフレの状態です。税金はその水を減らすためのものなのです。税金の目的は所得を誰かから奪うことです。なぜ、支出能力を減らすのか。それはインフレを規制したいからです。つまり、徴税というのは政府支出の財源を見つけるためではなく、経済から支出能力を取り除くためのものです」

 つまり、税金とはインフレを抑制するための調整機能として大きな役割があるのであって、予算の財源ではないのだ。

 ケルトンによれば、インフレを抑制する手段は他にもある。その一例として「規制緩和」を挙げた。

 「例えば石油ショックで石油価格が高騰した際、規制を緩和し、天然ガスを使うようになった。その結果、石油価格も下がった」

 政府は適切なインフレ率を維持するために、インフレが過度になりそうであれば「増税」、「規制緩和」などの政策を駆使するべきだということだ。

 次にこの図を見て頂きたい。

MMT2.jpg
  
これはさきほどと打って変わって、シンクの水が少ない状態だ。

つまり景気が悪い状態であり、まさに今の日本である。ではどうすれば水を貯められるのか。当然ながら、政府が国債を発行して支出をする(水をたくさん出す)ことと、減税する(出ていく水を減らす)ことである。

 しかし、いま政府がやろうとしているのが、「消費増税」である。

 これについてケルトンは「現在インフレの問題を抱えていない日本のような国が消費増税するということは経済的な意味をなしていない。予算の財源を得ようとしているからです。適切な政策目的にはなり得ない」と断じている。

 では、政府がやるべきことは何なのか。ケルトンはこう主張する。

 「経済のバランスをとることです。予算を均衡することではなく、支出と税金を調整することによって、『シンクの水が完全雇用になっても溢れ出ない』、『インフレをきたさない』という状況にコントロールすることです」

 現在、日本政府は「プライマリーバランス黒字化」、「財政均衡」、「財政再建」などといった目標を掲げて経済政策を立案している。しかし、ケルトンはそうした目標設定自体が間違っていると指摘する。

 「MMTは特定の予算支出を目標とすることはないし、政府赤字を何%にするといった目標設定もしない。適切な政策目標は『健全な経済を維持する』ということです。あくまで経済のバランスをとることが重要です。つまり、予算の均衡ではなく、経済の均衡です」

  財政赤字とは「単なる手段」
 MMTの話題になると、必ず「ハイパーインフレになるリスクがある」といったステレオタイプな批判が出るが、むしろそのインフレ率の調整にこそ注力するのがMMTなのである。

 だからこそいま日本人が考えるべきは、経済状況や社会状況を踏まえた上で「インフレの要因」を分析することだろう。

 例えば、国債を財源として教育無償化を実現するとしよう。それで果たしてインフレ要因になるだろうか。タダで教育を受けられ、教員をはじめとしてそこで働く人たちに仕事を与えることができる。それでいて何かの価格高騰を招くのだろうか。

 一方、公共工事を一気に極端に増やした場合には人手不足、資材不足などで工事費が大幅に上がり、一時的にインフレ圧力を招くかもしれない。では、どの程度の投資であれば適切なインフレ率に収まるのか。大切なことはそうした分析をして、適切な政府支出額を決めていくことである。

 「財政再建」の旗印のもとで、いつも目の敵にされる「財政赤字」だが、そもそもこれを悪いものと決めつけていいのだろうか。

 ケルトンは次のグラフを示して問いかける。

MMT3.jpg


 「それは政府側からの見方でしかありません。我々民間の側からバランスシートを見ましょう。すると、政府の赤字と同じだけが民間の黒字となります」

 このグラフから明らかなように、重要なことは、「政府の赤字は非政府にとっての黒字である」という事実なのである。

 ケルトンは財政赤字を経済状態の指標とすることに異議を唱える。

 「政府の赤字は悪でも脅威でもなく、財務のミスマネジメントの証拠となるものでもない。そういう見方ではなく、政府の赤字は単なる手段なのです」

 赤字国債が膨らみ続けて政府が破綻することはない。自国通貨建てであるからだ。

 それゆえにMMTはユーロ加盟国でユーロを使っている国々には通用しない。国債発行額の制約となるのはあくまで「インフレ率」なのである。

 ここまで見てきたようにMMTの論理は非常に興味深い。

 しかし、そんなMMTへの反論といえば「いかがわしい」「そんなうまい話があるわけない」といった非論理的なものばかりだ。唯一具体的な反論が「インフレ基調になった時、それを止められない」というものだが、それならば過度なインフレには絶対にならないという範囲で計画的に導入してみてはどうだろうか。

 そもそも20年以上のデフレに苦しむ日本である。

 例えば消費税を廃止して、足りない税収20兆円を全て国債で賄うとする。それで果たしてどの程度のインフレとなるのか分析してみて、インフレ率が過度にならない試算であれば実行してみるというのでもダメなのだろうか。それだけでも日本経済を大きく好転させられるのではないか。

 MMTの重要な示唆は、景気を好転させるための第一歩として「赤字国債をあえて増やして国民生活を向上させる政策」を実行すべきだということだ。

 MMTは言説のブームではない。出口の見えない不況。希望の見えない日本経済に大きなヒントを与えてくれていると捉え、最重要テーマとして国会で議論を始めるべきではないだろうか。

*********************************************************************

引用以上、かなり分かりやすい解説である。
 ウィキの解説は、難解で権威主義的な引用だけで、問題の本質を捉えていない。
 現代貨幣理論
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E7%90%86%E8%AB%96

 ざっくばらんに私が直観的に理解するのは、通貨発行権を持っている政府は、財政均衡(プライマリーバランス)に拘らずに、必要に応じて、どんどん通貨を発行すればよい。
 政府が赤字になれば、それは民間の黒字を生み出すというのが、MMT理論の核心である。

 しかし、市場に過剰な通貨が投入されると、インフレが発生し、通貨の価値を毀損してしまう。
 例えば、南米諸国、ベネズエラ・ボリビア・アルゼンチンにおけるハイパーインフレは、かつてのジンバブエを超えて、ほとんど通貨の意味をなさない粗大ゴミのような状態になっている。
  https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201901/CK2019012902000146.html

 100円のパンの価格が、トラックの荷台に満載する政府紙幣という状態では、交換価値としての通貨の役割が完全に失われていて、この状態では、必ず、大衆の生活の必要によって定まる標準的交換価値は、より兌換性のある、主食穀物か金属価値にシフトすることは避けられない。
 つまり、「小麦1合1デナリ」の世界に戻るということだ。これでは、MMT理論に従って通貨をどんなに増刷してみてもゴミにしかならない。

 私が、これまで何度も述べてきたように、経済回復に、もっとも必要なことは、底辺の消費力向上である。日本で、MMT理論に基づいて発行される通貨は、金持ちではなく、貧乏人に渡らなければ何の意味もない。

 今、中国で、一帯一路政策の破綻による莫大な財政赤字を、世界最大級の通貨増刷によって埋めていることろだが、経済理論からいえば、中国はベネズエラのような究極の混乱に至る運命が避けられない。
 それは、いよいよ迫ってきたドイツ銀行の完全破綻を契機として、世界規模で人類史上最悪の経済破綻が押し寄せてくるのだが、中国政府は、共産党官僚だけを救済する準備を始めている。

 それは、最高の兌換価値である金の確保である。中国経済は金本位制に戻ることでしか救済手段がなく、それは大衆を救済するものではなくて、共産党幹部の利権のためのものである。
 大衆は、「小麦1合……」の世界に戻り、おそらく紙幣が価値を失い、1元硬貨が基幹貨幣として利用されることになるだろう。
 大衆は、物々交換に活路を見いだすしかない。
 http://chugokugo-script.net/kiso/okane.html#%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E7%A1%AC%E8%B2%A8

 MMT理論の最悪の結末がハイパーインフレだが、これは中国共産党経済が人類史上の際だったモデルになるだろうと予想している。
 これは、中国共産党の構造的利権から、通貨発行の自律的な歯止めを失っているからだ。
 MMT理論では、増刷した通貨は、底辺の大衆に還元されることで、社会全体の景気が向上するとするわけだが、中国の場合は、通貨が大衆に渡されることはなく、すべて共産党官僚の利権に吸収されるのである。

 冒頭に紹介した、古賀茂明による山本太郎MMT理論への批判は、財政ばらまき支出だけを経済活性化の切り札と考えるなら、それはアホノミクスと同じ本質だと指摘したわけだが、確かに、インフレ自己抑制システムが未熟なうちに、ばらまき主義を実行すれば、古賀の指摘通り、ハイパーインフレに突入してゆくのは間違いなさそうだ。
 しかし、問題になるのは、増刷された紙幣のばらまき先なのだ。

 MMT理論の柱は、ケインズが指摘したように、底辺社会の購買力・消費力の向上にこそ、経済全体の活性化の基礎があるということであり、ばらまきは、景気向上の導入でしかない。
 アホノミクスの場合は、増刷された国債=通貨が、大金持ちを豊かにすることだけに使われた。これでは、社会全体の景気が回復するはずがない。大金持ちの消費力は、社会経済にほとんど貢献しないからだ。

 底辺の人々の消費力を削いでいる最大の要因は、消費税のような大衆課税である。この種の底辺イジメの無益な増税をやめさせ、彼らの消費力向上のために貨幣を増刷すれば、社会全体の景気好循環が生まれる。
 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190725/k10012008501000.html

 https://www.fujitsu.com/jp/group/fri/knowledge/opinion/er/2019/2019-7-1.html

 本当は、社会にとって、もっとも大切なことは金をばらまくことではなく、底辺の人々が人生に喜びを感じ、たくさんの子供たちが登場してくることである。

 最悪なのが、今、自民党が行っている経済政策であり、これは大衆から金を奪い取り、それを大金持ちと大企業に還付するものだが、こうして上流に蓄積された金が、トリクルダウンし、大衆を豊かにするために使われるかといえば、絶対にありえない。
 それは、上流の富をますます増やす目的で、投機博打にだけ使われ、巨大な投資集団の懐に消えてゆくだけなのである。

 MMT理論は、このあたりのメカニズムを鮮明に説明していないので、通貨を増刷した先に、どのように使われるかを、きとんと説明していない。
 こんなことでは、ケインズが述べたように、世界大恐慌を救うのは戦争しかないという結論に吸収されてゆくのではないかと危惧を感じる。

 もうドイツ銀行の倒産は目前だ。何が起きるのかといえば、リーマンショックの100倍もの経済破綻である。世界中の債務債権が崩壊することによって、あらゆる通貨が機能しなくなる可能性があり、そうなれば、大衆の日常的な交換価値は、物々交換に転換し、やがて旧来の兌換価値を残した硬貨による流通が始まり、底辺には、今、南米社会で起きているような実物経済が成立してゆく。

 これは、日本経済といえども、避けて通ることはできないだろう。最初にハイパーインフレがやってくる。
 人々は途方にくれて路頭に迷うが、優れた人物が立ち上がり、若者たちを牽引して大規模な地域農業の再開発が始まり、消費税のいらない実物経済社会になる。
 10%という消費増税は、通貨経済を根底から破壊するのに十分な障害である。みんな喜んで、物々交換経済を待望することだろう。
 こうなってしまうと、MMT理論が、どれほど役に立つのか、疑わしい。政府そのものの、実力が崩壊させられてゆくからだ。

 私は、自民党による消費増税という超超愚行は、日本が寄って立ってきた資本主義の基礎をも破壊してしまうのだと予想している。

 

Appendix

プロフィール

tokaiama

Author:tokaiama
ツイッターのアカウントは、原発運転による健康被害をとりあげた途端に永久凍結されました

最新記事

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
その他
3位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
3位
アクセスランキングを見る>>

カレンダー

08 | 2019/09 | 10
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

アクセスカウンター

アクセス数