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 MMT理論について、その2

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 山本太郎が経済政策の基幹として掲げたMMT理論について、まだ理解が浸透していないと考え、再び解説を引用する。

 前回のブログは
 http://tokaiama.blog69.fc2.com/blog-entry-824.html

 私の個人的印象を書けば、MMT理論は、80年以上前に一世を風靡したケインズ経済学の焼き直しである。
 http://www2.kobe-u.ac.jp/~kawabat/modernecon_j4.html

 ケインズ経済学の核心部分は、景気の本質を、底辺の消費購買力=需要増大であるとし、社会の底辺の需要を活性化すれば、上部構造である全体の景気も向上するというものであり、どうやって、底辺を活性化するかというと、公共事業への投資(財政政策)が手っ取り早い解決策だと主張した。

 つまり、社会資本の充実によって底辺労働者階級への大規模な利益還元を行うことが、当時、資本主義世界を苦しめていたニューデール大恐慌=大不況を克服する最短の原理的方法であるというものだった。
 この理論は、同時代に、第一次世界大戦の賠償義務により疲弊の極致にあったドイツ経済が、アウトバーン建設を主体とした公共投資によって、劇的な復活を遂げていることで正当性が広く認知されている。
 https://ameblo.jp/maaiika012/entry-10548967437.html

 これはフリードマン・竹中平蔵ら新自由主義者が提唱してきた、「大金持ちと大企業を富ませればトリクルダウンによって社会全体が豊かになる」という糞としか言いようのない屁理屈の真逆であった。

 ケインズは、大恐慌に対し、①利子率の切り下げ(金融政策) ②社会基盤等への政府投資(財政政策)によって景気を刺激するとした。
 つまり、誰でも気軽に金を借りられ、かつ利息も安く上がるような金融政策を行うこと。そして「社会基盤」つまり、底辺の人々が消費力を高められるような公共投資を主体とした財政政策を行えと主張した。
 これは、つまり資本の流動性を高めるという意味であり、それは金持ちを富ませるよりも、貧乏人を富ませた方が経済に良い影響を与えるという理論である。

 実は、ケインズは、大不況から直接の脱出は、世界戦争であるとも指摘し、ルーズベルトらに吹き込んだ結果、第二次大戦が勃発したのだが、この考え方も、「公共投資」の延長と考えられなくもない。
 問題の本質は、社会の実需要を、どれほど増やせるかが、資本主義延命の前提であると考えられたのである。

 だが、労働者に利益還元するという方法について、資本家たちは一斉に拒絶反応を示し、資本家を肥え太らせることだけが景気回復の道であると、現在の新自由主義者たちと、まったく同じ反応を示した。
 これは、当時の古典経済学の基礎理論が「セイの法則」と呼ばれる、「生産力さえ十分ならば需要が勝手に増える」のような勘違い理論が資本家に支持されていたからであり、「不況は労働者に金を与えすぎたせいだ」というような妄想に支配されていたからであり、新自由主義は、こうしたセイの古典経済学と本質的に似た部分が多い。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

 戦後、自民党政治、とりわけ田中角栄の「日本列島改造論」による「赤字国債を発行してまで公共投資を拡大する」という政策も、考え方によっては、ケインズ理論そのものではないかと考え、MMT理論も、この延長にあると考えるしかない。

 しかし、山本太郎のMMT理論=国債を発行して大衆への社会投資資金を確保し、弱者に注ぎ込むことが日本経済全体を活性化する。という経済政策に対し、MMT理論について無知なメディアから、嫌がらせに近い批判が殺到している。
 https://www.youtube.com/watch?v=l0vZTEb9cys

 これは、赤字国債による社会投資は、ハイパーインフレを招くだけだという批判であり、古賀茂明も同じように、「山本MMTは、安倍アホノミクスと本質的に同じ」という批判を行った。
 https://dot.asahi.com/wa/2019072900063.html

 これに対し、山本は、裏付けのない社会投資が行き過ぎれば必ずインフレになり、この段階で政策的に抑制できると回答している。
 現実問題として、アルゼンチン・ベネズエラなどは、もの凄い債権を発行したが、インフレ抑制に失敗し、中国もまた、プライマリーバランスを大きく逸脱した通貨増刷によって、ハイパーインフレの危機を抱えていて、今や、中国共産党特権階級は、国家崩壊を前にして、大量の純金を備蓄し、国家崩壊直前に海外脱出するという準備に余念がない。

 ここで、今日の評論のなかで、MMTについて、分かりやすい解説があったので紹介することにする。

 太平洋戦争に学ぶ…話題の「MMT」がハイパーインフレを招くリスク 8月14日
「高橋財政」の教訓を生かせ
 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/66516

 以下引用

参院選で消費税の廃止を強く訴える「れいわ新選組」が躍進したことで、同党が掲げる経済理論MMT(現代貨幣理論)が注目を集めている。MMTは異端の経済学とされ、主流派などからは「ハイパーインフレを誘発する」など、手厳しい批判が寄せられている。

 日本はドイツと同様、20世紀以降の主要国としては極めて珍しい、ハイパーインフレ(厳密には準ハイパーインフレ)を起こした前科を持つ国である。
 一連の歴史を紐解くことで、MMTが本当にハイパーインフレをもたらすのか、それとも杞憂に過ぎないのか、何らかのヒントが得られるはずだ。

 MMTは、ごく簡単に説明すると、自国通貨建てであればインフレが発生するまで財政出動を行うことが可能であり、生産力の限界まで経済を拡大できるという経済理論である。

 既存の経済学では、仮に自国通貨建てであったとしても、過大な政府債務は金利の上昇を招き、民間の設備投資を抑制する(いわゆるクラウディングアウト)ことから、弊害が大きいと認識されていた。だがMMTでは、中央銀行はいくらでも国債を購入できるので、低金利の継続が可能であり、民間の設備投資を抑制することはないとしている。

 基本的にMMTは、財政出動によって需給ギャップを埋めるという立場であり、物価についても、やはりモノやサービスの需給で決まると考えている点などから判断すると、限りなくケインズ経済学に近いとみなしていいだろう。

 だが、市場からの資金調達ではなく、中央銀行による直接引き受け(つまり通貨発行)によって財政出動を行うということになれば、市場には大量のマネーが供給されるので、一般的にはインフレ懸念が生じる。

 インフレの根源的な理由はともかく、MMTでは、インフレ・リスクが高まった場合には、財政出動を停止したり、増税することで抑制できるとしている。同理論を政策の柱としている「れいわ新選組」も、インフレ率が2%を超えた場合には、財政出動を抑制すると主張しているので、インフレは事前にコントロールできるという立場と考えられる。

 これに対して、主に主流派や実務家からは、現実にインフレをコントロールするのは不可能であるとの批判が多数、寄せられている。MMTに対する批判には様々なものがあるが、インフレが抑制できなくなることへの懸念が最も大きいとみてよいだろう。

 インフレをコントロールできるかという話は、経済政策の分野ではずっと前から論争となってきたテーマである。理屈上は、インフレになった場合でも、徹底的な金融引き締めで対処できるので、その意味では「インフレはコントロール可能」ということになる。

 一方で、インフレを制御できなくなり、破綻に至る国も多い。現在でも、ベネズエラやアルゼンチンではインフレを止められず苦しんでいる。

 もし中央銀行や財政当局が、国民生活を一切、気にする必要がなく、政治的な駆け引きから完全に独立した権限を持っているのなら、インフレを退治するのはそれほど難しいことではない。MMTを批判している人も、おそらく、この点については否定しないだろう。

 だが、現実問題として経済政策の遂行には多くの横やりが入るため、理論に忠実な政策を実行できるとは限らない。つまり、MMTに対するインフレ懸念というのは、経済学的な論争というよりも、通貨当局や財政当局が理論に沿った決断を実行できるのかという実務的な問題に近いと考えてよいのだ(経済構造の最適化を行わずに、財政出動によって需要を一方的に拡大することに弊害はないのかという経済学的な問題については、議論が発散するので、ここでは取り上げないことにする)。

 インフレを制御できなくなったケースは枚挙にいとまがないが、20世紀以後の主要国において、ハイパーインフレ(もしくはそれに準じるインフレ)を発生させたのは、第1次世界大戦後のドイツ(オーストリアなど含む)と太平洋戦争直後の日本しかない。では両国はなぜ、主要国であるにもかかわらずハイパーインフレという大失態を演じてしまったのだろうか。

 科書的には、ドイツのハイパーインフレは、敗戦によって課された巨額の戦争賠償金が原因であるとされている。
 ドイツの賠償金は天文学的な数字だったと言われることが多いが、実際はそうでもなく、当時の推定GDP(国内総生産)の2.5倍程度の金額である。
 確かに巨額ではあるが、ドイツの経済力を考えれば、長期の分割であれば、返済不可能というレベルではない。

 ところがドイツはどういうわけか、当時の中央銀行であるライヒスバンクが一度に大量の紙幣を発行するという措置で賠償金に対応してしまった。中央銀行が経済水準をはるかに上回る紙幣を一気に発行すれば、インフレになるのは確実であり、これは言ってみれば自滅的な選択といってよい。

 ライヒスバンクがなぜこのような措置を行ったのか、本当のところはよく分かっておらず、一部ではドイツの連合国に対する嫌がらせであったとの説もある。ともかく、中央銀行による大量の紙幣発行をきっかけにマルクに対する信用は崩壊し、ドイツ経済は一気にハイパーインフレに突入した。つまりドイツのケースは、限りなく貨幣的なインフレだったと考えてよいだろう。

 一方、日本のケースは、日銀の直接引き受けによって大型の財政出動を繰り返した結果、通貨の価値が毀損。これに空襲による生産設備の破壊という大規模な供給制限が加わり、終戦をきっかけに準ハイパーインフレとなった。
 つまり、日本のハイパーインフレには、過度な財政支出による財政インフレと、供給制限によるインフレという2つの側面がある。

 日銀が国債の直接引き受けを実施するきっかけとなったのは世界恐慌である。
 1920年代の日本経済は、第1次世界大戦がもたらしたバブル景気の崩壊と、続いて発生した関東大震災によって極めて深刻な状況にあった(1980年代バブル崩壊後から現在に至る日本経済によく似ている)。

 日銀の井上準之助総裁(当時)は、産業構造の転換が必要との立場から金融引き締めを断行したが、日本経済は激しいデフレに陥り、これに世界恐慌が拍車をかけるという最悪の展開となった(井上氏は、右翼から激しい攻撃を受け、血盟団事件で暗殺された)。

 満州事変直後に成立した犬養内閣の蔵相に就任した高橋是清氏は、事態を打開するため、日銀の直接引き受けによって政府支出を拡大するという積極財政に転換。これによって、あっと言う間に日本経済は復活し、デフレからの脱却にも成功した。

 日銀の直接引き受けによって国債を大量発行し、超大型の財政出動を行って需要を拡大するという、いわゆる「高橋財政」は、今、議論されているMMTとそっくりである。

 もっとも高橋氏は、日銀の直接引き受けによる無制限の財政出動はあくまで一時的な措置であり、いつまでも続けることはできないと主張。
 インフレの兆候が見えた場合には、財政出動を停止するとしていた。だが、満州事変以後、日本は泥沼の戦争に突入しており、軍部からは常に予算拡大の圧力がかかり、国民もこうした勢力拡大路線を強く支持するようになった。

 高橋氏はあくまで財政規律を呼びかけていたが、最終的には2.26事件によって暗殺されてしまい、日本において過度な財政支出を戒める声は消滅した。説明するまでもなく、その後、日本は日中戦争を経て太平洋戦争に突入。最終的には国家予算の280倍という途方もない戦費をすべて日銀の直接引き受けで賄い、ハイパーインフレによって経済は完全に破綻した。

 満州事変以降、終戦までの一連の経緯は、インフレの制御がいかに難しいのかを物語っている。当時も、過度な財政支出がインフレをもたらすことについて、関係者は強く認識していたわけだが、多くの事情が、財政出動の停止を阻む結果となった。

 戦後の歴史観では、すべて軍部が悪いという話になっているが、現実はそうとも言い切れない。

 確かに明治憲法は天皇主権で軍部には統帥権があったが、不完全ながらも議会は機能しており、当局が民意をまったく考慮せずに政策を実行するのは不可能であった(そうであればこそ大正政変が発生したともいえる)。

 1.26事件については、決して少数とはいえない国民が青年将校らの犯罪行為を強く支持したという面があり、この頃を境に「皇国においてインフレは発生しない」など、奇妙な主張を行う論者が現われるようになった。
 戦時統制が厳しくなるにつれて、インフレ懸念を口にした人を非国民としてバッシングするという風潮も顕著になっていった。

 10年にわたるスタグフレーション(景気低迷とインフレの同時発生)に悩まされた1970年代の米国でも、似たような展開が見られた(当時の日本と一緒にしては失礼だが)。
 金融引き締めを断行すればインフレを退治できることが分かっていながら、当時のFRB(連邦準備制度理事会)議長だったバーンズ氏は、「国民を苦しめるのか!」という政治的圧力に抗しきれず、インフレの最中に金利を引き下げ、物価上昇をさらに加速させるという失態を演じている。

 れいわ新選組の公約を見ると、公共事業の大幅拡大、奨学金の全額免除、最低賃金1500円、公務員の大増員、農家の所得補償など、超大型の財政支出が目白押しとなっている。もしインフレ懸念が発生した場合、こうした施策を実施している最中であっても、一連の予算を削減するという冷酷な決断をしなければならない。

 大型の政府支出を削減した場合、景気は冷え込み、助成金や補助金を受け取っていた人からは猛反発を受ける可能性がある。
 こうした状況においても、理論通りの政策遂行が可能であり、国民もその痛みを受け入れる覚悟が出来ているのなら、MMTはまったくの空論とは言えないと筆者は考えている。

 だが、歴史を見れば分かるように、昭和恐慌時の金融引き締めや小泉構造改革など、大きな痛みを伴う政策は、すべて国民の猛反発によって頓挫している。
 人は一度、手にした社会的・経済的利権を手放すことに対しては、異様なまでの反発を示すものだ(年金減額、終身雇用、正社員と非正規社員の待遇格差、禁煙、男性優位、グローバル化など、諸問題における利権を失う側の反応を見れば、それは一目瞭然である)。

 しかも日本の場合、論理ではなく情緒が優先され、基本的に声の大きい人の意見が通りやすいという土壌がある。こうした社会において、ひとたびインフレが始まれば、これを抑制することはかなり難しいのではないだろうか。

***************************************************************************
 引用以上

 これで、山本太郎MMTを実現した場合、ハイパーインフレを招くのか、それともインフレ抑制に成功するのか? という問題を見ると、高橋理論による財政出動が招いたハイパーインフレの原因は、軍部の無制限の侵略拡大欲求による暴走にあったと断定してもよいだろう。

 現在起きている、ベネズエラやペルーなど南米諸国のハイパーインフレ、これから起きる中国でのハイパーインフレが抑制しがたい理由は、「俺たちに金を出せ!」勢力を抑制できないからといってよいだろう。

 山本首相が実現したとき、財務相になるのは誰だか分からないが、高橋是清ほどの人物でも、命を引き換えにしても、軍部勢力の暴走を止められず、インフレも止められなかった。これが、山本首相の下では、経済暴走を引き起こす「金出せ!」勢力が登場しないのか、といえば、今の段階では分からないというしかない。

 山本組の致命的弱点は人材不足である。山本太郎首相を支える有能な人物がどれほど集まるかが鍵なのだ。財務相については、山本MMTをアホノミクスと同じと批判している張本人の古賀茂明を引っ張り出すしかないだろう。
 少なくとも、障害者に対する社会資本の投入は成功するだろうと思う。しかし、その後、必ずベーシックインカム体制に移行することが必然であり、これを、大企業と富裕層からの増税で手当する、という政策が、何の抵抗もなくスムーズに進むことはありえない。

 必ず竹中平蔵のような極悪人が、高橋是清を暗殺したような勢力となって、山本を苦しめる事態は避けられない。
 今の段階で「取らぬ狸の皮算用」は、ほどほどにしておきたいが、山本MMTの未来は多難であり、苦難に満ちていて、応仁の乱のような大混乱に突入することが避けられないような気がしている。
 

Appendix

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