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「福島第一原発は津波が来る前に壊れていた」元東電社員“炉心専門家”が決意の実名告発~木村俊雄氏「事故原因は”地震”だった」

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 http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/791.html

 私は、数日前からこの記事を見つけて、ブログに書くべきか少し迷った。
 というのも、福島第一原発が、「想定外の津波によって原子炉が壊れた」と賠償訴訟法廷でも主張してきているのだが、実際には、津波の前に、「構内で自由に出歩けないほどの放射線が観測されていた」というリーク情報から、津波ではなく、地震によって一次冷却水配管が破断した可能性が極めて強いというのは、我々の間では常識であり、「何を今さら」という気分があったからだ。

 しかし、これを書いたのは、2000年まで東京電力福島第一原発に勤務していた原子炉専門家であり、我々の知らない豊富な情報が新たに公開されたと考え、わざわざ文藝春秋9月号を買いに走って、読者に報せることにした。

 以下引用

  「事故を受けて、『国会事故調』『政府事故調』『民間事故調』『東電事故調』と4つもの事故調査委員会が設置され、それぞれ報告書を出しましたが、いずれも『事故原因の究明』として不十分なものでした。メルトダウンのような事故を検証するには、『炉心の状態』を示すデータが不可欠となるのに、4つの事故調は、いずれもこうしたデータにもとづいた検証を行っていないのです。

 ただ、それもそのはず。そもそも東電が調査委員会に、そうしたデータを開示していなかったからです。そこで私は東電にデータの開示を求めました。これを分析して、驚きました。実は『津波』が来る前からすでに、『地震動』により福島第一原発の原子炉は危機的状況に陥っていたことが分かったのです」

 7基もの原発が稼働中の現在、このことは重大な意味をもつ。「津波が原因」なら、「津波対策を施せば、安全に再稼働できる」ことになるが、そうではないのだ。
*****************************************************************************

 文藝春秋9月号に書かれている、木村俊雄氏の指摘を要約する。

 事故調の報告書は800ページあり、東電が公開しているデータは2000ページ、事故当時の操作手順をまとめたものも5000ページあるが、この記録をくまなく読ん木村氏は「東電はすべてのプラントデータを公開していない」(相当部分を隠蔽している)と感じた。
 炉心流量に関連するデータが一切公開されていなかった。(過渡現象記録装置という計算機が記録するデータ)
 これは、航空事故でいえば、フライトレコーダに相当し、事故のプロセスをくまなく記録して分析可能な心臓部分の情報であるが、これを東電は隠蔽していたのである。

 隠蔽を命令できる立場は、当時の技術部門総帥=東電副社長=武藤栄と思われるが、彼は、フクイチが津波による破損前に莫大な放射能を環境放出した事実が知られると、地震対策に欠陥のある原子炉を運転して、巨大な被害を生み出したことになり、幹部の刑事責任は免れ得ないと考え、あくまでもフクイチは津波で壊れたのであって、地震には耐えたという結論を作りたく、地震で壊れた証拠を隠蔽、隠滅すると決定したと考えられる。

 木村氏は、原子炉管理の在職中、毎日、このデータの解析に取り組んできたので、この最重要データが公開されていないのはおかしいと気づいた。
 2013年7月、記者会見を行って東電に不足データの開示を求めたが、東電側の回答は「すべてのデータは開示済み」であった。
 ところが、その後、広瀬直巳社長が記者会見で、公開質問状の内容や、炉心流量データが未開示であることを質問されると「すべてのデータを開示する」と表明してしまった。
 広瀬は、おそらく炉心データの持つ意味を理解しておらず、東電の隠蔽方針を無視して独走してしまったと思われる。

 東電側にとって不本意に開示されたデータは、地震発生後、プラントの全計測データを100分の1秒周期で記録し計算機に保存していた。(さすがに、このデータを消去する勇気は東電側になかったようだ)

 以下のグラフは、横軸が時間、縦軸が「時間あたりの炉心に流れている水の量」を示す。
 
rosin.jpg

 沸騰水型原子炉では、炉心を流れる一冷却水が核分裂燃料を除熱する。グラフでは、地震前に毎時18000トンで水が流れていたが、14時46分に地震が発生すると、原子炉が自動停止し、放物線を描いて流量が下がってゆく。

次に、電源喪失により、いったんマイナスになっているが、これ自体は設計上の理由で問題はない。
 その後、数値はスパイクし、1分30秒前後から、炉心流量がゼロになっている。
 BWR原子炉では、水が原子炉内で自然循環していれば、電源喪失でポンプが止まっても、炉心熱を50%まで除去できる仕組みになっている。
 この自然循環はBWRの安全性を担保する核心的メカニズムである。

 逆に、自然循環がなくなれば、たちまちメルトダウンの危機に襲われる。水流喪失とともに、燃料被覆管の表面に、気泡がびっしりと生成される。この気泡が被覆管の放熱を阻害する要因となって、被覆管の溶融(ドライアウト)、ジルカロイ合金の水素発生をもたらす。
 この段階で、メルトダウンの始まりとなる。

 木村氏が過渡現象記録装置の解析により分かったことは、地震発生後、わずか1分30秒後に、ドライアウトが発生した可能性が強いということであり、これは津波とは何の関係もなく、地震によって核燃料が崩壊したことを示すものである。

 なぜ、「自然循環」が止まってしまったのか?
 木村氏の経験から、過去の故障実績を考えると、圧力容器に繋がる細い配管である「ジェットポンプ計測配管」が破損したことが原因である可能性が極めて高い。

 事故当時、運転員が「自然循環」が停止した事実を理解することは困難だった。理由は、運転マニュアルに記載されていないからである。
 つまり、この問題は、運転員の操作ミスではなく、設計、構造上の欠陥なのである。

 津波の第一波が到着したのは、地震から41分後、15時27分だった。その遙か前、地震から二分後の14時48分頃には、原子炉は危機的状況に陥っていた。
 東電は「想定外の津波によりメルトダウンした」と発表しているが、これは真っ赤なウソ! 本当は、原子炉の構造的欠陥が原因で、地震の2分後にはメルトダウンの危機に陥っていたというのが真実である。

 四つの事故調査委員会に参加した専門家の誰一人として、このデータの欠落(東電による責任逃れのための隠蔽)に気づかなかった。
 ただ、開示されていたとしても、このレベルの専門家たちは、正しく分析できなかった可能性が強い。

 「専門家」とはいうが、医学者と同じで、専門があまりにも細分化されすぎていて、それぞれの分野の権威であっても、すべての事象について専門的知識があるわけではなく、炉心の細かい挙動についてはシロウトである。
 国会事故調の先生方によれば、過渡現象記録装置のデータは、東電のパソコン画面で確認したが、数値の羅列だけで、それだけで事故の本質を読み取ることは不可能であった。
 東電の原子炉解析を専門的に手がけてきた木村俊雄氏が、数値をグラフ化して、初めて意味のあるものになったのである。

 木村氏は、定期検査ごとに400ユニットある燃料集合体のうち、4分の1を新しい核燃料に交換し、残りの300ユニットを、全然違う場所に配置し直す仕事をしていた。
 運転開始後、中央制御室で、設計通りに核燃料が稼働しているかを確認し、次の定検まで燃料を壊さずに運転する管理を行っていた。
 フクイチには原子炉が六基あるが、炉心屋は9名しかおらず、特殊な狭い世界の専門家であって、炉心の挙動を本当に理解できている者は、わずかしかいなかった。

 東電の責任を問う訴訟のなかで、木村氏は、田村市の原告に協力し、今年の3月と5月、法廷に技術証人として証言している。
 東電は、木村氏の主張に対し、「炉心流量の計測には、ローカットフィルタリングという回路があって、処理が数値上なされているだけで、実際には自然循環は止まっていなかった」という主張を行った。
 つまり、自然循環は生きていて、地震によってドライアウトが起こったわけではなく、津波が来るまで原子炉は正常に機能していた」と繰り返した。

 ところが、5月の後半で、東電は、反対尋問用の資料として、原子炉メーカーの設計書を提出してきた。
 これを見ると、木村氏が解析に使用したデータの、ほぼすべてが、実は、ローカットフィルターを通す前の生データであることが判明した。
 つまりローカットフィルターを経由する前の、加工されないデータであって、東電側の「ローカット処理によって実際のデータではない」という主張を自ら完全に崩してみせたのである。
 東電は、自分で自分の首を絞めることになってしまった。

 これを指摘すると、東電側の弁護士は冷や汗をかき、主張を詰まらせた。おそらく、炉心のことをよく知らない人物が、反訴資料を作ったように思われた。
 実際、炉心の細かい挙動に詳しい技術者は、木村氏を含めて極めて少ないのである。

 ここで、木村氏は、東京電力の伝統的体質について触れている。

 東電は、過渡現象記録装置のデータを隠蔽して、原子炉が地震で直接、壊れたことを隠し通そうとした。
 木村氏の在任中も、東電には、都合の悪いことを隠す体質があった。
 例えば、核分裂生成物を放出する恐れのある燃料の落下事故や、制御棒の破損事故が起きても、国に報告しなかった。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%E9%9A%A0%E3%81%97%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 データの改竄も行った。運転日誌の原子炉熱出力の計算値の書き換えもあった。これは法令で定められた記録であるにもかかわらず、自分たちの都合に合わせて自由に書き換えていた。
 安全性よりも「経済合理性」を追求する企業体質であった。

 1990年代後半から、電力自由化の波のなかで、原発の発電コストの優位性を示すために、発電単価を下げるための圧力が現場に押し寄せてきた。
 このため、法令で定められた運転期間を勝手に延長したり、24時間不休で、定期点検期間を圧縮することなど日常茶飯事であった。

 1991年10月、重大事故が起きた。
 フクイチ1号機の配管腐食部分から冷却用海水が漏れ出した。電線ダクト管を経由して、タービン建屋に、放射能汚染水が浸入してしまった。
 建屋の地下に海水が貯まり、非常用ディーゼル発電機が水没して機能を失った。
 法令とマニュアルから、非常用発電機が喪失したなら、ただちに原子炉本体の運転を停止しなければならない。結果、1号機は68日間にわたって、運転を停止せざるをえなくなった。
 
 木村氏は上司に疑問をぶつけた。
 「これくらいの海水漏洩で非常用ディーゼル発電機が機能を喪失するならば、津波が来た場合は、すべての発電機が使えなくなる。そうなれば原子炉を冷却できないので、事故を解析する必要があるのでは?」

 上司は答えた。
 「君の言うとおりだ。しかし安全審査のなかで津波を想定するのはタブーなんだ」
 この言葉を聞いて、木村氏は戦慄し、大きな脱力感を覚えた。
 上司は、原発の設計ベースの事故事象について安全審査する担当者だった。東大の原子力工学科を出たエリートで、人間的には良い人物だったから、ついホンネを漏らしてしまった。

 木村氏は「デザインベースから駄目ではないですか?」と言った瞬間に、すべての対話は終わり、その後は、なおざりの報告書が作られ、埋まっていた配管が掘り起こされただけで、それ以上の対策は何一つとられなかった。

 木村氏は言う。

 原発には、そもそも無理がある。
 事故を教訓に、十分な安全基準を設けることも行われず、事故原因の究明さえ行われていない。
 東電は、「津波によってメルダウンが起きた。原子炉は津波が来るまで機能していた」と主張を繰り返していて、その津波は「想定外の規模で、原子力損害賠償法の免責事項にあたる」としているが、東電の隠蔽してきた資料を再検証すると、津波が来る前に、地震で原子炉が致命的破損を起こしていた事実がはっきりと分かる。

 木村氏の分析によれば、原子炉破損の原因は「ジェットポンプ計測配管」という極小の配管設備であり、これが事実なら、耐震設計の見直しは、巨大な作業になってしまう。 細かい配管のすべてをシュミレーションして、耐震対策をやり直す必要があり、莫大なコストがかかってしまう。

 費用面からみて、今後、原発の稼働は一切不可能になるのである。
 フクイチ原発事故から8年を経過したが、この種の問題は、まったく放置されたままで、今後も、大地震によって稼働中の原発がメルトダウンを起こす巨大事故が繰り返されることだろう。 
 
 

Appendix

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